カメレオンってなつく?現役飼育者の考えをまとめました!!【コラム】
この記事では、カメレオンが私たち人になつくのか、カメレオンと暮らしているわが家の考えをまとめました。
カメレオンと暮らしていると誰かに話すと、多くの場合で「飼えるの?」と驚かれ、同じくらいの確率で「懐くの?」と聞かれます。
一般に爬虫類は飼育者がどれだけ愛情をもって接してもなつかないと言われることが多いです。
カメレオン飼育者の間でもカメレオンがなつくかどうかは意見が割れていて、
- カメレオンも所詮は爬虫類
- 人といるのはストレスでしかない
といった意見の一方、
- カメレオンは他の爬虫類と違う
- 人と一緒に過ごすのを楽しんでいる
というような真逆の意見があります。
そんな、人によって答えの異なる「カメレオンはなつくのか?」という疑問に対して、カメレオンと暮らして5年になるわが家の考えを述べてみたいと思います。
今からカメレオンと暮らしてみたい方や、すでにカメレオンと生活していてどんなスタンスで接したら良いか悩んでいる方は参考にしてみてください。
カメレオンは犬や猫のようにはなつかない
まず、カメレオンが“なつく派”と“なつかない派”の両方でおおむね共通している意見があります。
それが、「カメレオンは犬や猫のようにはなつかない」ということです。
これにはカメレオンの生態から見える根拠や、多くのカメレオン飼育者の体験があります。
- カメレオンは社会性をもっていない
- 自分から人に寄ってくるカメレオンは稀
の2つです。
カメレオンは社会性をもっていない
多くの爬虫類がそうであるように、カメレオンも生態的に社会性をもっていません。
カメレオンは群れで生活するわけでもなければ、子育てもしません。
その一生は基本的に孤独であり、他者と協力して暮らすことはないのです。
そのため、カメレオンは飼育下で私たち人といても、犬や猫のように人と積極的に関係を築こうとはしません。
自分から人に寄ってくるカメレオンは稀
カメレオンが社会性を持たない生態であることを裏づけるように、多くの飼育者がすぐに気づくことがあります。
カメレオンは犬や猫のように甘えてきたり、人を見つけて駆け寄ってきたりはしません。
彼らは人との直接的な触れ合いを重要なコニュニケーションと感じてはいないのです。
カメレオンが私たちに自分から寄ってくることがあるとすれば、
- 「人 = ごはん」と思っている
- どこか行きたいところがある
といった何かしらの用事がある時です。
犬や猫のように構って欲しくて擦り寄ってきたり、甘えるために飛びついてきたりはしません。
かといって脊髄反射的に行動しているわけではない
カメレオンは社会性を持っていないので、犬や猫のようになつきはしません。
しかし、だからといって本能や脊髄反射的な行動しかしないかというとそうではありません。
人との関係性が違うだけで、犬や猫と変わらないくらい私たちと意思疎通できる生き物だと思います。
カメレオンが本能や脊髄反射的な行動以外の知的な思考ができると思う根拠は3つです。
- “敵”や“餌”以外の関係性がある
- 自分で考え悩むことができる
- 知能は2〜3歳程度
それぞれどのようなときにそう思ったのか述べてみます。
カメレオンには“敵”や“餌”以外の関係性がある
カメレオンは自分以外の生き物と、“敵”や“餌”以外の関係性を築くことができます。
野生下でも観察されている行動で、カメレオンはオス同士であいさつとして首を振るというものがあります。
わが家でも、パンサーカメレオンの“かーくん”が、家族の一人に何度か首を振ったことがありました。
これは相手のことを友人のように信頼してあいさつしているからだと考えられています。
昆虫や本能的行動に終始すると考えられている生き物で、オス同士で威嚇しあうことがあり、カメレオンも例外ではありません。
しかし、首を振る行動はカメレオンが威嚇として見せる行動とは違います。
カメレオンが首を振る理由には他に求愛があり、特別な気持ちを伝えるために使う表現です。
威嚇と首を振る行動は明確に区別され使い分けられています。
つまり、カメレオンは自分を襲ってくる敵や餌以外の関係で、他の生き物と関わることができるということです。
カメレオンは自分で考え悩むことができる
カメレオンは何かやりたいことや困ったことがあったとき、自分で考えて悩むことができます。
例えば、行きたいところが簡単に行けない場所だったら、ひと通りじたばたしたあと、一度立ち止まって周りを見渡して考えます。
そして新しい道を見つけたら動き出し、成功したらそのまま進んでいくのです。
困ったときに立ち止まってキョロキョロと周りを見ながら悩んでいる姿は、本能的な行動とかけ離れていて、とても親近感を覚えます。
カメレオンの知能は2〜3歳程度
カメレオンの知能を研究した論文などは今の所見つけられませんでした。
しかし、実際にカメレオンと暮らしていると、その知能の高さに驚きます。
色々な体験から、わが家ではカメレオンの知能は2〜3歳程度と推測しています。
人と同じ尺度でカメレオンの知能を推測することには無理があるでしょう。
鏡像を理解するなど2歳の子供にできることができない一方で、中には空間認知能力など3歳児より遥かに優れているように感じる部分もあります。
ただ総合的に見ると、カメレオンに対する印象は、2〜3歳児と触れ合うときのそれに似ていると思います。
カメレオンができることとできないことを見てみましょう。
【参考①】0歳児から2歳児の発達過程|就学前教育カリキュラム 改訂版|東京都教育委員会ホームページ
【参考②】3歳児|就学前教育カリキュラム 改訂版|東京都教育委員会ホームページ
【参考③】ミラーテスト – Wikipedia
カメレオンができること
- 人を見分ける
- 見慣れない人を警戒したり、人によって行動を変える
- 2種の活き餌を見分ける
- 好きな種類から先に食べたり、気に入らないほうを残したりする
- 高さを比べられる
- どこが高いかを見分けてより高い場所へ行きたがる
- かなり広い場所の地理を覚えられる
- 一度ケージが見えない場所へ行っても自分で帰れる
- 便のあとお尻を拭く
- 木の枝をトイレットペーパーのように使う
- ケージの出入り口を理解する
- 部屋での散歩に出れるロープがかかる場所で待つ
- 活き餌の入っている容器を覚える
- 食事したいとき容器の近くで待つ
- 窓から見える景色を眺める
- 顔ごと窓のほうを向いて行き交う人や車を目で追う
いかがでしょうか?
カメレオンと触れ合ったことがある人なら、この中の多くのことを体験されているのではないかと思います。
まだカメレオンを詳しく知らない方には驚きの行動もあるでしょう。
特に、わが家でカメレオンと暮らしはじめて一番驚いたのは、人を見分けたうえでそれぞれの人の前で行動を変えることです。
初めて会う人を警戒したり、治療のために嫌なことをする獣医の先生はとても嫌いで物凄く威嚇します。
また、わが家では季節によっては、2つの部屋を自由に行き来できる広いスペースを散歩させます。
一度ケージがないほうの部屋へ行くと自分のケージは見えません。
しかし、見えなくなったケージの場所を記憶していて、きちんと自分のケージに戻ることができます。
同時に、2つの部屋でどこが一番高いのかは、壁が邪魔で直接見比べることができません。
それでも、はっきりとどこが一番高いところなのか理解し、そこが複数のカメレオンのお気に入りの場所になっています。
さらにわが家ではケージを窓際に置いているのですが、2〜3歳の子供が電車で外を眺めるように、窓のほうを向いて長時間、外の景色を興味深そうに眺めています。
視線の向くほうを確認すると、往来する人や車が動くのを追っているようです。
しかもカラスなどの天敵が視界に入っても、どれくらいの距離なら安全かを理解していて、怯えたりする様子はありません。
全ての個体が同じようにできるわけではありませんが、カメレオンは私たちが考えるより遥かに賢いようです。
カメレオンができないこと
- 鏡の自分を理解する
- 鏡に自分が映ると別の個体に見えて威嚇する
- 透明のものを認識する
- ガラスのケージは「なぜか通れない」程度の認識
- 動かないものを餌や水と認識する
- 訓練で認識できる個体もいるけど基本は興味がない
- 家族や群れを作る
- 先に述べたように社会性はない
- 自分の子供をお世話する
- 生まれたての子供は口に入るのでごはんに見える
カメレオンはかなり賢い一方で、動物の知能テストの定番である“ミラーテスト”はおそらくクリアできません。
鏡の自分を見ると、明らかに自分以外の個体を見つけたような反応をします。
鏡を目隠ししたあとも、その場所に他のカメレオンがいるかのような振る舞いです。
また、ガラスや透明なプラスチックといったものの存在や形を認識するのが苦手です。
なんとなくそこが通れなかったり、何かがあるとは理解しているようですが、透明なものがあるとはわかっていないように見えます。
そして、一番の特徴は先に述べたとおり社会性がない点です。
オスやメスといった性別に関係なく、長期間複数の個体が仲良く過ごすことは難しいようです。
同じように自分の子供だったとしてもそれを区別することなく、口に入るサイズであればごはんだと認識します。
やはり家族や親子、群れといった社会的な集団を作ることはできないようです。
カメレオンは人と友好な関係を築ける?
ここまで、カメレオンが犬や猫のようななつき方をしないこと、本能や脊髄反射だけで行動しているのではないことを述べました。
では、カメレオンは人と友好的な関係を築けるのでしょうか?
カメレオンと実際に接したことがある人たちの間でも見方が異なります。
海外のカメレオンに関する情報を扱うサイトでは、「カメレオンは水槽の中の魚のように扱うべきだ」という記述を見かけます。
- 可能な限り直接の触れ合いは避けるべき
- 人を信頼したり友好的な関係は築けない
- ケージに入れたままそっとしておくべき
ということを端的に表したわかりやすい例えです。
【参考④】Chameleons Good Pets for Beginners? (Amazing Tips) – Pets – Purplepedia
しかし、わが家は違った見方をしています。
わが家では、カメレオンと人は適切に過ごせば友好的な関係が築けると確信しているからです。
カメレオンとの関係はその人がどう接するかの鏡
前述のとおりカメレオンと接する人たちの間でも、カメレオンと人の関係について意見の違いがあります。
どうしてこのような意見の違いが生まれるのでしょうか?
カメレオンは一緒に過ごす人の接し方で、その性格を変えます。
人がそうであるように、カメレオンも相手が自分をどのように思っているのかを理解しているからです。
カメレオンは「わかり合えない」と思いながら接すると、その人に恐怖心や敵対心を抱きます。
逆にカメレオンと「わかり合おう」とする人と過ごせば、少しずつ心を開いてくれるのです。
そのため、カメレオンが人と友好的な関係を築けないと思っている人ほど、攻撃的だったり怯えたカメレオンとばかり出会い、そうでない人は穏やかで優しいカメレオンと多く出会います。
カメレオンの態度は、まるで人の態度を映す鏡のようです。
それぞれの主張を持つ人が出会うカメレオンは、同じ個体でも別のカメレオンのように印象が違うので、お互いの主張の溝は永遠に埋まらないのでしょう。
わが家ではカメレオンはきちんと誠意を持って向き合えばそれに応えてくれる、双方向のコミュニケーションが可能な生き物だと考えています。
犬や猫が“なつく”というような関係とは違いますが、カメレオンも人と十分に信頼関係を築くことができます。
どうすればカメレオンと仲良くなれる?
適切にカメレオンと接していれば信頼関係を築けるというのがわが家の考えです。
では具体的にはどのようにすれば、カメレオンと仲良くなれるのでしょうか?
カメレオンと仲良くなるためには、とにかく“カメレオンが嫌がることをしない”というのが大切です。
そのためにはカメレオンの気持ちを理解したり、表情を読んだりしてストレスをかけない方法を知っておく必要があります。
詳しくはカメレオンの適切なハンドリングを解説した記事がありますのでぜひチェックしてみてください。
カメレオンは人になつくのか まとめ
今回はカメレオンが人になつくのかをわが家なりの考え方でまとめてみました。
この記事で伝えたかったことをまとめると、
- カメレオンは犬や猫と同じようにはなつかない
- 私たちが思うよりずっとかしこい
- カメレオンの性格は私たちを映す鏡
- 適切に接すればカメレオンと人は信頼関係を築ける
以上となります。
カメレオンは社会性を持たない生き物なので、私たちとの関係も犬や猫とは異なります。
しかし、それを人と信頼関係を築くことができないと結論づけるのはあまりにも短絡的ではないでしょうか?
犬や猫とは形が違いますが、カメレオンと人はお互いにコミュニケーションができ、信頼関係を築くことができます。
明確な意思表示をしたり、私たちのことを理解しようとしたり、相互的な意思疎通ができるのがカメレオンの大きな魅力です。
わが家はカメレオンに誠意を持って向き合えば、それに応えてくれると確信しています。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関連サイトリンク
- 0歳児から2歳児の発達過程|就学前教育カリキュラム 改訂版|東京都教育委員会ホームページ
- 3歳児|就学前教育カリキュラム 改訂版|東京都教育委員会ホームページ
- ミラーテスト – Wikipedia
- Chameleons Good Pets for Beginners? (Amazing Tips) – Pets – Purplepedia