カメレオンの紫外線灯&バスキングライトを選ぶ!! おすすめも紹介!【解説】
この記事ではカメレオンのケージに設置するライトの選び方について解説します。
照明はカメレオンの飼育用品の中で最も選択肢が幅広く、適切な製品を選ぶのが難しいです。
わが家でもライト類は常に悩みの種でした。
カメレオンと暮らし始めてから、最も多くの種類を試した飼育用品です。
今ケージにセットしているものの他に 10 種以上は買い替えています。
- どのタイプがいい?
- 出力はどれくらい?
- なんで必要なの?
そんな、「初めてのカメレオン飼育でどれを選べば良いのか分からない…」と言うかたのために、それぞれのライトの選び方を解説します。
必要なライトの種類
- 紫外線灯
- バスキングライト
- 明りとり
- 夜間保温球
カメレオンに必要なライト類は上記の通りです。
この記事では最初の2つ、紫外線灯とバスキングライトについての解説です。
結論から知りたい方はこちら!!
また紫外線灯は、製品を選べばそれで終わりではありません。
紫外線灯のセッティングについてはケージのレイアウトの記事があるのでこちらを参考にしてください。
後編として、夜用の保温球などの選び方を解説する記事も書いています。
併せてこちらもチェックしてみてください。
ケージごとのおすすめ製品
カメレオンのライト選びはとにかく難しいです。
「細かいことはいいからどれを使えばいいか知りたい!!」と言われそうなので、最初に各ケージサイズごとのおすすめ製品を紹介します。
複雑なライト選びですが、あえて簡単にケージのサイズごとの目安をざっくりと解説してみますので参考にしてみてください。
この記事では便宜的にケージのサイズを 4 つに区別します。
ケージサイズの便宜的区別
- 特大ケージ
- 高さ 120cm 以上
- 大型ケージ
- 高さ 90cm 位まで
- 中型ケージ
- 高さ 60cm 位まで
- 小型ケージ
- 高さ 30cm 位まで
では、それぞれのケージサイズ向けの紫外線灯とバスキングライトをご紹介します。
特大ケージの場合
特大ケージ(高さ120cm以上)
- 100w 以上の水銀灯
- 生体まで最低 35〜45cm 離す
- ケージ全体がサウナにならないよう注意
高さが 120cm 以上の特大ケージでは 100w 以上の安定器内臓型水銀灯が良いでしょう。
100w の場合では生体までの距離が 35〜45cm 程度離して照射すると適度なバランスです。
カメレオンが大型種の場合は、さらに大型のライトを選び生体との距離を離します。
ケージ全体がサウナになってしまわないように注意して設置。
水銀灯は紫外線、バスキング兼用のためこれ 1 つでOKです。
特大ケージ用ライトはコレ!!
大型種のライトならコレ!!
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大型ケージの場合
大型ケージ(高さ 90cm まで)
- 26w 蛍光灯型紫外線
- 生体まで25〜35cm離す
- 50w バスキングライト
- ガラスケージではバスキングライトを 10〜25w に変更
高さが 90cm までの大型ケージでは、26w 蛍光灯型紫外線灯と 50w バスキングライトが良いでしょう。
紫外線灯は生体から 25〜35cm 程度離して照射します。
バスキングライトは生体のいる場所がその生体にとって適切な温度になるよう距離を調節しましょう。
ガラスケージを使用する場合は、バスキングライトを 10〜25w 程度に収めると丁度良いです。
大型ケージ用ライトはコレ!!
ガラスケージ用バスキングはコレ!!
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中型ケージの場合
中型ケージ(高さ 60cm まで)
- 26w 蛍光灯型紫外線
- 生体まで 25〜35cm 離す
- 25w バスキングライト
- ガラスケージではバスキングライトをなし〜10w に変更
高さが 60cm までの中型ケージでは、26w 蛍光灯型紫外線灯と 25w バスキングライトが良いでしょう。
紫外線灯は生体から 25〜35cm 程度離して照射します。
バスキングライトは生体のいる場所がその生体にとって適切な温度になるよう距離を調節しましょう。
ガラスケージを使用する場合は、バスキングライトをなし〜10w 程度に収めると丁度良いです。
中型ケージ用ライトはコレ!!
ガラスケージ用バスキングはコレ!!
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小型ケージの場合
小型ケージ①(高さ 30cm まで)
- 3w LED 紫外線灯
- 生体まで 30〜40cm 離す
- 20w バスキングライト
- ガラスケージではバスキングライトを 10〜15w に変更
小型ケージ②(高さ 30cm まで)
- 13w蛍光灯型紫外線灯
- 生体まで15〜20cm離す
- 10wバスキングライト
高さが 30cm までの小型ケージでは、3w LED 紫外線灯と 20w バスキングライト、もしくは 13w 蛍光灯型紫外線灯と 10w のバスキングライトが良いでしょう。
LED 紫外線灯は生体から 30〜40cm 程度、蛍光灯型紫外線灯は 15〜20cm 程度離して照射します。
LED 紫外線灯はきちんと生体に紫外線が当たっているかをよく確認しましょう。
バスキングライトは集光型、レフ球タイプを選びます。
ガラスケージの場合は 3w LED 紫外線灯と 10〜15w バスキングライトの組み合わせが丁度良いです。
小型ケージ用ライトはコレ!!①
ガラスケージ用バスキングはコレ!!
小型ケージ用ライトはコレ!!②
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ライト選びはトライ&エラー
カメレオン用のライトは一度購入すればそれで用を成すということはなく、ケージサイズやお迎えした生体に適切になるように調整をしなくてはなりません。
今回はわかりやすいよう、適切なランプの選び方についてあえて画一的な書き方をしました。
しかし本来、メーカーごとの設計思想の違いや性能差、使用環境の違いなどから画一的な基準を示すのは非常に困難です。
上記製品を使用しても、個々のお家やカメレオンにとって適切かどうかは設置して見ないとわかりません。
うまくいかなかった場合は、この先のそれぞれのライトの役割、詳しい選び方と製品紹介を読んでライトの設置方法、種類やサイズを調整してみてください。
詳しい選び方
ここからは詳細な紫外線灯とバスキングライトの選び方と製品を紹介します。
どの製品が優れているかという視点でなく、さまざまな種類、出力の製品を網羅的に選択肢に入れて、必要なバランスになるよう調整していくことが大切です。
そうは言っても、いきなりどれを選んで良いか分からないと思いますので、ざっくりとこれくらいの出力がいいんじゃない?という目安をお伝えします。
もっと正確に紫外線灯を選び、セッティングしたい場合は紫外線計の導入がおすすめです。
ファーガソンゾーンの解説記事で紫外線計の使い方を解説していますのチェックしてみてください。
具体的な出力の目安は?
照明出力目安
- 特大ケージ(高さ 120cm 以上)
- 水銀灯 100w 〜
- 大型ケージ(高さ 90cm 位まで)
- 26w 蛍光灯型紫外線灯
- 50w バスキング
- 合計 75w 前後
- 中型ケージ(高さ 60cm 位まで)
- 26w 蛍光灯型紫外線灯
- 25w バスキング
- 合計 50w 前後
- 小型ケージ(高さ 30cm 位まで)
- LED 紫外線灯 or 蛍光灯型紫外線灯
- 15w 白熱電球 or 10w 白熱電球
- 合計 25w 前後
ガラスケージでは出力を抑える
こちらはメッシュケージや鳥かご型ケージなどの通気性の良いケージでの参考値です。
ガラスケージの場合は、保温性が高いため、より小さな出力のライトでも十分に温まります。
上記の数字からバスキングライトの出力を抑え、合計の w数が 50〜70% 程度に収まるようにすると良い感じだと思います。
蛍光灯は水銀灯より小さめでOK
また大型、中型のケージで使用する蛍光灯型の紫外線灯はたったの 26w で足りるのか、と思われるかもしれません。
しかし蛍光灯の発光効率は水銀灯よりもずっと高いです。
安定器内臓型の水銀灯は、1w あたり 20lm 程度の発光効率ですが、蛍光灯は 1w あたり 100lm 程度と約5倍の効率です。
【参考①】LED照明器具の省エネ性について|パナソニック電工
【参考②】HIDランプの基礎知識 | 電気設備の知識と技術
そのため、蛍光灯の場合は小さなw数でもより広範囲に届くので、水銀灯とは w数の基準が異なります。
上記組み合わせであれば、極端におかしな組み合わせにはならないでしょう。
さまざまな条件で適切な製品は変わる
ただし、実際のライト選びは数えきれない要素に左右されます。
例えば、各ライトからカメレオンまでの距離やケージのタイプによって必要な出力は変化します。
また、小型のケージで飼育されることの多い、小型で地表棲のカメレオンでは、樹上性のカメレオンよりも求められる紫外線量や熱量が小さいことが多いです。
さらに、室温がどれくらいに調整してあるかも必要な出力を左右します。
そのため、各ライトの出力を選ぶ際は、実際にケージにライトを設置して温度計でカメレオンのいるケージの中の温度を確認しながら調整する必要があります。
一度購入すれば終わりでなく、適切な照明を見つけるまで数w単位で照明を選ぶことになります。
さまざまな製品を網羅的に選択肢に入れる必要がある、と述べたのはこの微調整のためです。
ここからは各大手メーカの爬虫類用ライトをご紹介します。
基本的に日本で入手可能なもので、カメレオンに使えそうな製品を抜き出しています。
出力を一覧にして表にまとめましたので参考にしてみてください。
表中のS・M・L・LLは特におすすめのケージサイズがあるものにつけています。
※ S=小型ケージ M=中型ケージ L=大型ケージ LL=特大ケージ
安定器内臓型水銀灯
メーカー名 | 製品名 | 75W | 80W | 100W | 125W | 160W |
---|---|---|---|---|---|---|
REPTIZOO | スーパーサンUV | ● | ●LL | ●LL | ●LL | |
ECONLUX(ゼンスイ) | UVマーキュリーランプ | ● | ●LL | |||
ExoTerra(GEX) | ソーラーグローUV | ● | ●LL | |||
ZooMed | パワーサンUV | ● | ●LL | ●LL |
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まずは特大ケージやお散歩コースに設置する、水銀灯の製品ラインナップです。
上記製品は全て照明器具の一般的な規格、E26 ソケットで使用できるタイプです。
選び方のポイント
- 出力バランス
- 照射面積と生体の体格
わが家がお散歩コースで使用しているのはゼンスイ ECONLUX/UVマーキュリーランプの 100w 製品です。
60cm くらい離れていても手をかざすと電球からの熱を感じます。
高さ 90cm 以下のケージではあっと言う間にサウナの出来上がりです。
エボシやパンサーであれば 100w の出力の製品を 35〜45cm 程度離して照射すると、ちょうど良い紫外線と熱量のバランスです。
高さが 120cm を超えるようなかなり大きめのケージでないと常設しての使用は困難と言えます。
上記の表では 100w より大型や小型の製品も載せています。
小型種のお散歩用なら75wで十分で、逆に大型種なら 125w や 160w をもっと離れた距離から照射しないと全身に光が当たらないでしょう。
注意点
- 電球の大きさ
- 設置方法
- 消費電力
注意点としては、水銀灯の電球はかなり大型なことが挙げられます。
大体どの製品も電球の直径が 10cm 強で、口金から電球の頂点までは 15cm を超えるものもあります。
60w の白熱電球が直径 6cm、全長 10cm 程度ですので、いかに大きいかお分かりいただけるでしょう。
爬虫類用の大型のフードがついた照明器具か、フードのないタイプの照明器具、あるいは屋外用の大型のフードやワイヤーガードのついた照明器具など、水銀灯が入る照明器具を用意しなければなりません。
その他製品固有の注意点として、ExoTerra(GEX)のソーラーグローUVとREPTIZOOのスーパーサンは垂直に設置するよう公式サイトや取扱説明書に注意書きがありますので、設置方法が限定されます。
また、どれも消費電力が大きいので、使用する照明器具が対応する最大消費電力をよく確認して選ぶ必要があります。
特に 160w となると、最初からメーカー純正の照明器具を選んだ方が早いかもしれません。
蛍光灯型紫外線灯
メーカー名 | 製品名 | 13W | 15W | 26W |
---|---|---|---|---|
ZooMed | ReptiSun 5.0 | ●S | ● | |
ReptiSun 10.0 | ● | ●M/L | ||
ExoTerra(GEX) | レプタイルUVB100 | ● | ● | |
レプタイルUVB150 | ● | ●M/L | ||
REPTIZOO | スパイラルUVB2.0 | ● | ● | |
スパイラルUVB5.0 | ● | ● | ||
スパイラルUVB10.0 | ● | ●M/L |
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直管蛍光灯ではなく、折り曲げたり捻ったりして小型にまとめられた電球タイプの蛍光灯型紫外線灯です。
こちらも上記製品は全て E26 口金の照明器具で使用できます。
選び方のポイント
- W数
- 含まれる紫外線の割合
まず目につくのが、w数の違いです。
高さ 60cm 以上のケージを使用することが多いエボシやパンサーであれば 26w 一択です。
そして、同じメーカーが同じw数で違う製品を出しているのがお分かりいただけると思います。
なぜ同じw数で複数のラインナップがあるのでしょうか?
これは、ExoTerra(GEX)以外のメーカーの場合、製品名にある数字が照射される光の中の UV-B 量を示しており、そもそもの紫外線照射量が異なります。
例えば、最も細かいラインナップがある REPTIZOO であれば、末尾2.0は全体の光のうち 2% が UV-B で、10.0 の製品は 10% の UV-B を含みます。
詳しいスペックを公開している ZooMed の公式サイトによると、5.0 の 26w は 10.0 の 13w と同程度の UV-B を照射できるとのことです。
【参考】Lighting & UVB Education – Choosing a UVB Source | Zoo Med Laboratories, Inc.
同じ紫外線量を要求する場合でも、必要な熱量は生体の種によって異なるため、このような細かなラインナップとなっているようです。
多くのカメレオンの場合は 10.0 の製品を選び、照射距離は 20〜30cm 程度が良いでしょう。
また、小型のケージで飼育する地表棲のカメレオンに、LED でなく蛍光灯タイプの紫外線灯を使用したい場合もあると思います。
その場合は生体が要求する紫外線量も少なめなので、13w/5.0 の製品を照射距離 15〜20cm 程度でセッティングするのも一つの選択肢です。
注意点
- 熱量が中途半端
- 寿命が短い
これらの蛍光灯型紫外線灯の注意点は、意外と熱を持つと言う点です。
実際に 26w の製品を点けてみた感想は割と熱いな〜と言う感じです。
しかし、このサイズの紫外線灯を必要とするカメレオンがバスキングをするのには圧倒的に出力不足です。
あわせてちょうど良く熱量を確保できるようにバスキングライトを選ばなくてはなりません。
また、カタログに記載されている製品寿命よりかなり早く紫外線出力が落ちて行きます。
水銀灯はカタログスペックと同じかむしろ長いくらいですが、蛍光灯型は記載される寿命あたりになると紫外線量はほぼ 0 です。
どの製品も 1 年程度の寿命を謳っていますが、半年サイクルで交換するのがおすすめです。
LED紫外線灯
メーカー名 | 製品名 | 3W | 9W |
---|---|---|---|
Petpetzone | マイクロ UV LED | ●S | |
REPTIZOO | ミニLED UVBランプ | ●S | |
ZooMed | レプティサン UVB/LED | ● |
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最も発熱が少ない紫外線灯、LED 紫外線灯です。
3w の製品は小型ケージなど蛍光灯型でも熱量が大きすぎる場合に有効な選択肢です。
Petpetzone のマイクロ UV/LED は GU10 という特殊ソケットなので注意。
選び方のポイント
- 出力
- 口金の規格
最初に気が付く点として、異常に消費電力が小さいということです。
最も大きい出力の ZooMed のレプティサン UVB/LED でもたったの 9w。
本当にこの出力で大丈夫なのか不安になる数字です。
しかし、これは LED の特徴である高い発光効率が原因で、実際の光の量は見かけの数字以上となります。
Petpetzone のマイクロUV/LEDではメーカーの公表データで、μW/cm2 あたりの出力が REPTIZOO の蛍光灯型 10.0/26w 以上の数値となっています。
3w で 10.0/26w 以上と考えるとかなりの高出力です。
もし小型ケージに設置するのであれば、生体まで 25〜35cm 程度離してセッティングすると良いでしょう。
さらに、ZooMed のレプティサン UVB/LED 9w はとても強力なライトです。
水銀灯の 100w と 160w の間くらいの紫外線を出力し、ライトから 20cm 以内では砂漠種を含むいかなる生物にも危険な紫外線量です。
大型以上のケージで 30〜40cm は離して照射すべきでしょう。
そして、口金についてです。
Petpetzone のマイクロ UV/LED は GU10 という特殊ソケットが使われており、一般の照明器具では使用できません。
その他の 2 種は E26 口金対応です。
注意点
- 遠達性
- バスキングライト必須
主に小型ケージで活躍する LED 紫外線灯の注意点は、遠達性があまりよくないことです。
各メーカーが公表しているデータからも、蛍光灯や水銀灯よりもライトからの距離による紫外線量の変化が急激であることがわかります。
これは、カメレオンに適した紫外線量を確保できる距離の範囲が狭いことを意味します。
ケージに設置する際は、きちんと生体に向けて正しい距離でライトがセッティングできているかよく確認しなければなりません。
そして、LED 紫外線灯のメリットである低発熱なことから、バスキングライトは併用必須です。
小型のケージに設置することが多いと思いますので、レフ球型の白熱電球やハロゲンランプがおすすめです。
LED 紫外線灯は他のタイプのライトよりかなり新しい製品群です。
これから新しい製品が出揃い、もっと使いやすくなって行くことを願います。
バスキングライト
メーカー名 | 製品名 | 20W | 25W | 35W | 40W | 50W | 60W | 75W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Petpetzone | ストロング バスキングスポット ランプ | ●S | ● | ● | ||||
ZooMed | ナノ ハロゲンヒートランプ | ● | ||||||
ナノ バスキングスポットランプ | ● | ● | ||||||
レプティバスキングスポットランプ | ● | ●L | ● | |||||
REPTIZOO | ビーム スポットランプ | ● | ● | ● | ||||
ポゴナクラブ | ビバリウム バスキングスポットライト | ●M | ● | ● | ||||
ExoTerra(GEX) | サングローナノ | ●M | ||||||
サングロータイトビームバスキング スポット | ●L | ● | ||||||
サングローバスキングスポット | ●L | ● |
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蛍光灯型紫外線灯や LED 紫外線灯とセットで使用するバスキングライトです。
砂漠に生息するトカゲ類やカメ類のために各社 100w 以上のラインナップがありますが、カメレオンでそのサイズが必要な場合は水銀灯に置き換えるのが適当なので上記表では省いています。
また、バスキングライトを使う理由であるホットスポットの作り方については、温湿度管理の記事で解説していますので、こちらもあわせて確認してみてください。
選び方のポイント
- 爬虫類用でなくてもOK
- 集光型と散光型
わざわざこの記事のため先の表をまとめましたが、正直なところバスキングライトは爬虫類専用品でなくとも構いません。
基本的にはどの製品もその正体は白熱電球かハロゲンランプです。
パッケージに“UV-A も照射”といった表記がありますが、これは白熱電球とハロゲンランプでは原理上、発した光の中にわずかに紫外線を含むためです。
どちらかといえば紫外線を完全に無くせなかったと言うのが正しいのではないでしょうか?
そのため、家庭用の白熱電球やハロゲンランプでも同じように使用できます。
【参考】光源の波長特性(光源スペクトル)とは – ケイエルブイ
もう一点、集光型か散光型かと言うポイントがあります。
爬虫類用のバスキングライトでは光の指向性を高めて一方向に照射できるよう、電球のソケット側にアルミなどの金属を蒸着して反射板にした製品が多いです。
これは、一般的な言葉でいうとレフ球と言うタイプの電球です。
レフ球はソケット側に漏れる光を減らし、照射する面積を限定することで、光の当たる部分は同ワット数の電球より明るく暖かくなります。
狭いケージでホットスポットを作る際は、この光の指向性が有効に活用できます。
しかし、カメレオン用のケージは他のトカゲ類のケージより高さ方向に大きく、上下で温度差が作りやすいです。
レフ球のメリットは大きいですが、同時にホットスポットの面積を絞ることにもなるので、どちらが良いかは実際にセッティングしてみないと判断が難しいところです。
また、照明器具を内部が反射板になっているフードがあるタイプにすれば散光型でも集光型と似たような効果を作れます。
上記の表の製品は全て集光型です。
注意点
- ケージ内で温度差を作る
- 小型のものは白熱電球で
注意点は、ついつい「熱が必要だから大きな出力のを選ぼう!!」となりがちなところです。
カメレオンは本来日向と日陰を出入りして体温調節を行います。
ケージ全体がバスキングライトの影響下にあるとそれができません。
ケージの上の方に行くと周りより暖かく紫外線が得られ、下に降りると涼しく紫外線も少ないと言う環境が必要です。
この周りよりも暖かい場所をホットスポットと呼びます。
初めてのバスキングライトを選ぶのであれば、前述の出力の目安の項で触れたサイズのバスキングライトから始めてみると良いでしょう。
実際にケージ内に温度計を置いてホットスポットを作れているか確認することが大切です。
生体とライトの距離でも温度が変化するので、設置場所は慎重に選びます。
また、あまりに小型なバスキングライトは爬虫類用という選択肢がありませんので、白熱電球などで代用します。
集光型が良い場合は小型白熱電球やハロゲンランプからレフ球を選ぶと良いでしょう。
今回紹介しなかった製品
今回の記事で紹介した紫外線灯は以下の3タイプです。
- 水銀灯(安定器内蔵)
- 蛍光灯型紫外線灯(電球型)
- LED紫外線灯(大手メーカー製)
しかし、これ以外にも紫外線灯は販売されています。
主な製品と紹介しなかった理由を説明します。
おすすめしない紫外線灯
- 安定器外付けメタハラ
- カメレオンには出力が大きすぎる
- 初期費用が安定器内蔵水銀灯の 3 倍以上と高価
- 蛍光灯型紫外線灯(直管タイプ)
- 直管蛍光灯用照明器具は国内メーカー生産終了
- 紫外線量の勾配が作りづらい
- 大手メーカー製以外の紫外線灯
- スペック通りの出力である補償がない
- 有害な紫外線成分を含む可能性がある
簡単ですが上記のような理由で今回はおすすめから外しました。
特に、近年になって爬虫類用品の販売をはじめた新興メーカーや Amazon などで安価に購入できるノーブランド品には危険な製品が多く含まれます。
危険な紫外線灯が普通に売られている
イギリスで爬虫類用品の技術分析を行なっているTomaskas Ltd.によると、
- UV-B を全く含まないLED紫外線灯
- 異常な高出力の LED 紫外線灯
- UV-C 領域の光を含む水銀灯
といった、まさに劣悪と言える品質の紫外線灯が多数販売されていることが確認されています。
カメレオンの健康を損なうばかりか、場合によっては人にすら害のあるような製品が平然と販売されているのです。
これらの紫外線が目に見えないことにつけ込んだ悪質な製品を回避するためには、実績のある有名メーカーから選ぶのが最も確実です。
【参考①】Lamp Report – LEDBOKLI LED | Tomaskas
【参考②】Lamp Report – NOMOY PET LED Calcium Lamp | Tomaskas
【参考③】Dangerous Lamp Alert! – Fluker’s Sun Spot Mercury Vapour Lamp | Tomaskas
太陽光の必要性と紫外線灯の役割
カメレオンが日光浴する3つの理由
- 体温の維持…熱が必要
- 骨の代謝…紫外線と熱が必要
- 皮膚の代謝…紫外線が必要
まず紫外線灯ですが、こちらは読んだ通りに紫外線を発する照明です。
なぜ紫外線をケージに照射する必要があるのでしょうか?
紫外線灯はカメレオンが日光浴をする理由のうち、骨の代謝と皮膚の代謝に関係します。
紫外線の分類
- UV-A…400〜315nm
- UV-B…315〜280nm
- UV-C…280〜100nm
- その他…100nm以下
太陽光に含まれ、紫外線と呼ばれるのは 10〜400nm の波長です。
紫外線とひと言でまとめられがちですが、紫外線の中にも波長ごとの区分けがあります。
上記のように UV-A〜UV-C、その他の4種類です。
カメレオンが必要とするのはこの中の UV-A と UV-B です。
それぞれの成分がカメレオンの健康を守るのに異なる働きをします。
UV-BでビタミンDを生成している
カメレオンに紫外線が必要な理由の一つ、それはカメレオンが太陽光を浴びることによって、骨の代謝に必要なビタミン D を作り出しているからです。
骨を作るのに必要なカルシウムを体に吸収するためにはビタミン D が不可欠で、不足すると骨が脆くなる代謝性骨疾患、人で言う“くる病”になります。
カメレオンは紫外線の中の UV-B を皮膚に浴びることで、このビタミン D を生成しています。
【参考】UV Lighting for Reptiles: Vitamin D synthesis in Ultraviolet Light
また、代謝性骨疾患の予防に、ライト類と同じくらい大切なのが、活き餌と一緒に与えるサプリメントです。
カメレオンに必要なサプリメントについてまとめた記事もあるので、あわせて読んでみてください。
UV-AとUV-Bで皮膚の代謝をしている
カメレオンが紫外線を必要とする理由の 2 つ目が、皮膚の代謝です。
カメレオンは他の爬虫類と同じように、脱皮をして古い皮膚を脱ぎ捨てます。
この脱皮の促進には UV-B に加えて UV-A も必要となります。
両方の紫外線がないと皮膚の代謝が正常に行われないので、脱皮不全の原因につながります。
ブラックライトとは違うの?
紫外線が浴びられれば良いのであれば、紫外線を出す照明として有名なブラックライトで代用出来そうですがそうはいきません。
爬虫類向けの製品と何が違うのでしょうか?
答えは発する紫外線の波長です。
ブラックライトが発する光は、最も可視光に近い紫外線、UV-A のみです。
これではビタミン D の生成の役には立ちません。
ブラックライトには UV-A しか含まれないので、カメレオンには向きませんが、爬虫類用の紫外線灯はどのように優れているのでしょう?
爬虫類用の紫外線灯は UV-A と UV-B、2 つの紫外線を適切なバランスで照射するように作られています。
他の製品で代用できるものではないので、爬虫類向けの紫外線灯を使用されることをおすすめします。
【参考】ブラックライトとは?|ブラックライトの国産メーカーコンテック
バスキングライトの役割
カメレオンが日光浴する3つの理由
- 体温の維持…熱が必要
- 骨の代謝…紫外線と熱が必要
- 皮膚の代謝…紫外線が必要
続いてバスキングライトです。
バスキングライトは日光の熱を再現するための照明です。
紫外線灯と一緒じゃないの?と思われるかもしれませんが、こちらは体を暖めることに重きを置いています。
バスキングライトはカメレオンが日光浴をする理由のうち、体温の維持と骨の代謝に影響します。
体温の維持と骨の代謝には熱がいる
カメレオンは外温性の生き物のため、体温のコントロールに太陽光の熱を必要とします。
十分な熱がないと内臓の働きが鈍くなり、食欲が落ちたり食べ物を消化できなくなったりします。
また、先程述べた紫外線によるビタミンDの生成には適度な温度も必要であるということも分かっています。
これらの理由から、紫外線灯だけでなく、バスキングライトも必要な照明であると言えます。
バスキングライトは専用品でなくてもOK
しかしこちらに関しては、爬虫類用の製品でないといけない、と言うことはなく必要な熱量が得られるのであれば普通の白熱電球などでも構いません。
ただし、光と熱の指向性のコントロールや適切な熱量を確保するため、結果的に爬虫類用のバスキングライトになることもあります。
2つの照明1つにならない?
紫外線灯とバスキングライト、それぞれが異なる理由でカメレオンに必要です。
それならば、この 2 種のライトの役割を兼ねる製品があれば設置するのは 1 つで済みます。
なんとかして 1 つのライトにまとめられる方法はないのでしょうか?
紫外線・バスキング兼用ライト
実はそんな便利な照明がずっと前からあります。
それが安定器内蔵型水銀灯と呼ばれるタイプのライトです。
爬虫類向けの水銀灯は爬虫類が必要な紫外線を含む光を照射し、かつ十分な熱でバスキングライトを兼ねることができます。
蛍光灯型紫外線灯とバスキングライトを合わせて購入するのと同じか少し高価な程度で入手でき、照明器具が1つにまとめられることからセッティングも簡単です。
爬虫類向け水銀灯とは
爬虫類向け水銀灯の特徴
- 100w 前後で大型
- 安定器内臓
- 有害な紫外線を含まない
爬虫類用に普及している安定器内臓型の水銀灯は、家庭向け白熱電球で主流の 40〜60w よりはるかに大型な 100w 前後の製品です。
通常の水銀灯は外部に安定器が必要ですが、爬虫類用の水銀灯は安定器内臓型で一般の照明器具で使用できます。
また一般向け用途の水銀灯は生物に有害な紫外線成分を発しますが、爬虫類用ではこの成分を取り除くよう調整されています。※一部商品を除く
そんな便利な製品ならばみんなが使っていそうですが、カメレオン用として意外と人気は低いです。
高性能で便利なのに、ケージ用照明としてはあまり使われません。
これが、カメレオンの照明器具選びが難しい理由です。
カメレオンの照明選びが難しい理由
今回はカメレオンの照明選びが難しいと繰り返し述べてきました。
それは、水銀灯がカメレオン用の照明として一般的でない理由をみるとよくわかります。
- 紫外線と熱のバランスが難しい
- サイズを小さくすると照射面積も減る
- 高性能≠優れた製品
紫外線と熱のバランスが難しい
安定器内臓型水銀灯がカメレオン飼育者にあまり受け入れられていない理由は、紫外線量と熱量のバランスです。
水銀灯はまさに小さな太陽のような熱と紫外線を発していて、広い場所であればカメレオンたちも気持ちよさそうに当たっています。
しかし、これをカメレオンのケージにそのまま設置するとある問題が発生します。
それはあまりに大きな発熱です。
例えば、パンサーカメレオンが必要とする紫外線量と熱量を満たす水銀灯は 100w 程度の出力で、距離が 35〜40cm あたりでちょうど良いバランスになります。
このサイズの電球をちょうどよいバランスでカメレオンに当たるようケージにセットするとなると、通気性のよいメッシュケージでも、高さが最低 120cm 以上はないとあっという間にサウナが出来上がってしまいます。
サイズを小さくすると照射面積も減る
このサウナ化現象の原因は、電球のサイズが巨大なため、本来必要な熱量よりもたくさんの熱が電球の周りに放出されているからです。
では、全体の出力を絞った小型の水銀灯ならどうかというと、適切な紫外線量の距離だと、全身に光が当たりません。
水銀灯で適切なバランスの紫外線と熱を与えるなら、ケージのサイズを大きくするほかありません。
しかし日本の住宅事情を考えると、水銀灯を設置できるサイズのケージを使用している方はかなり少数派だと思います。
以上が水銀灯がケージに設置する照明としてあまり人気でない理由です。
高性能≠優れた製品
カメレオンにとって、紫外線量や熱量が高い高性能な製品が必ずしも優れた製品だとは言えません。
カメレオンのライト選びは、ケージとお迎えしたカメレオンに適しているか、という点が最も重要だからです。
それは水銀灯がとても高性能なのに、あまり普及していない例からもお分かりいただけると思います。
いくら紫外線量が多くても、カメレオンに不用な程の照射量では逆に健康に悪影響が出ます。
同じように、使用しているケージに対して熱量が高過ぎれば、適切な温度を保てません。
常にお迎えしたカメレオンと飼育環境に最適な照明はどれか、という視点で製品を評価しなければなりません。
紫外線灯とバスキングライトの選び方 まとめ
今回はカメレオン飼育に欠かせない紫外線灯とバスキングライトの選び方について解説しました。
カメレオンに関係する飼育用品の中で最も選択肢が多く、正解が目に見えないアイテムなので適切に選ぶのは本当に難しいです。
記事の前半に紹介した製品の組み合わせはわが家での経験と、大手メーカーのカメレオン飼育キットを参考にしています。
しかし、この組み合わせならどんな環境でも完璧、という正解は存在しません。
実際にお家でお迎えしたカメレオンのケージにライトをセッティングしてみて、温度やカメレオンの行動をよく観察してそれぞれの正解を探すことが大切です。
そして、紫外線灯やバスキングライトを使用する理由、原点に立ち返り、可能な限り太陽のもとで日光浴をさせることをおすすめします。
紫外線灯で得られる光は化学反応から得られる歪な組成となっており、本物の太陽の力の足元にも及びません。
わが家では可能な限り頻繁に日光浴をさせることを推奨しています。
後編として、今回の紫外線灯とバスキングライト以外のライト類を解説する記事を書きました。
併せてこちらもチェックしてみてください。
そのほか、ケージの選び方や止まり木と観葉植物の選び方を解説した記事も書いています。
飼育用品の選び方など、カメレオンをお迎えする準備についての記事を準備編カテゴリーにまとめていますので、ぜひ読んでみてください。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
関連サイトリンク
- Zoo Med Laboratories, Inc.
- Reptizoo
- Econlux
- Exo Terra : Make Your Reptiles Feel At Home
- Petpetzone.com
- 光源の波長特性(光源スペクトル)とは – ケイエルブイ
- Lighting & UVB Education – Choosing a UVB Source | Zoo Med Laboratories, Inc.
- UV Guide UK – Ultraviolet Light for Reptiles – UVB reptile lighting on test
- UV Lighting for Reptiles: Vitamin D synthesis in Ultraviolet Light
商品リンク一覧
以下、記事内に出てきた製品ジャンルごとのリンクです。