【5Stepでわかる】カメレオンの温湿度管理の方法とコツ【解説】
この記事では、カメレオンの飼育環境を整える上で最も大変な温度と湿度の管理について解説します。
ケージや止まり木を用意しただけでは、カメレオンが暮らしていく環境として不十分です。
必ず温度と湿度を適切な範囲にコントロールしなければなりません。
カメレオンの温湿度管理は、24 時間 365 日、常にカメレオンにとって快適な温湿度を維持するということです。
いきなりカメレオンのために温度と湿度を管理しろ、と言われても何をどうしたら良いかわからないのではないでしょうか?
- 適切な温湿度の範囲は?
- ホットスポットって何?
- どんな冷暖房が最適?
これから具体的にどのような設備で、何に気をつけて温度と湿度を管理するのか解説します。
まだカメレオンをお迎えしていない方はもちろん、すでにカメレオンと暮らしている方にも参考になる内容ですので、ぜひ読んでみてください。
また、カメレオンの温湿度管理は飼育環境のセットアップとも深い関わりがあります。
ケージの設置とレイアウトの解説記事もありますので、こちらもあわせて読んでみてください。
カメレオンの温湿度管理 5 STEP
カメレオンの温湿度管理は、手順はシンプルなものの実際にきちんと調整しようとすると難しいものです。
まずはざっくりと 5 Step で全体の手順について解説します。
- 種や個体にあった適温適湿の確認
- エアコンを使って適温下限の部屋を作る
- バスキングライトでケージ内にホットスポットを作る
- ケージ下部が適湿の上限になるよう調整
- カメレオンの様子で微調整
【Step.1】種や個体にあった適温適湿の確認
温度については必ずどのように管理していたかブリーダーや販売店に確認しましょう。
カメレオンの適温は種や個体ごとに違います。
お迎えする個体のあわせた温度管理はブリーダーや販売店が最も熟知しているからです。
具体的には、
- 昼の気温(バスキングスポット含む)
- 夜の気温
- 湿度
の 3 つをしっかりと確認します。
このとき、「昼の気温は 27 〜 32℃」というように、必ず幅のある答えが返ってきます。
カメレオンのケージの中には温度のグラデーションを作るからです。
違う温度の空間をカメレオンが自由に行き来できることが大切なので、幅を持たせた温度を伝えられるのです。
たとえば、わが家のパンサーカメレオンの温度と湿度の目安は以下のようになります。
- 昼の気温
- 27 〜 32℃
- ホットスポットは 30 〜 32℃
- 夜の気温
- 25 〜 28℃
- 湿度
- 50 〜 60%
- 夜間は少し高め
ブリーダーや販売店に聞いてもきちんとした答えが返ってこなかった場合は、参考のデータがありますのでこちらも確認してみてください。
Step.1 の詳細はこちら!!
【Step.2】エアコンを使って適温下限の部屋を作る
確認した温度を参考に、適温の下限あたりで維持した部屋を作ります。
たとえば、昼の気温が 27 〜 32℃ と言われたら、昼間の部屋の気温を 27℃ で維持できるようにエアコンを使って調整します。
実際にやってみるといかに難しいかわかると思いますが、とにかく一定の温度を維持できるように努力しましょう。
昼と夜で大幅に必要な気温が違う場合は、昼と夜それぞれで適温の下限を再現します。
部屋の温度管理を行うのはエアコンがおすすめです。
いろいろな冷暖房器具の中でなぜエアコンをおすすめするのかも解説しています。
Step.2 の詳細はこちら!!
【Step.3】バスキングライトでケージ内にホットスポットを作る
適温下限の部屋が作れたら、その状態でケージの上部にホットスポットを作ります。
ホットスポットはカメレオンが体温を上げるのに使う、擬似的な日向のことを言います。
具体的には、バスキングライトを使って局所的に温度が高い場所を作るイメージです。
このとき、
- ケージの上下で温度のグラデーションを作る
- ホットスポットの 1 番温度の高いところを適温の上限に収める
ということに気をつけます。
バスキングライトでケージ全体が温まってしまうのは避けましょう。
ケージの上部にバスキングライトでホットスポットができ、下部が適温の下限になるのが理想です。
ホットスポットを作れば自動的に昼の気温の上限もカバーできます。
このケージの上下の温度のグラデーションを温度勾配と言います。
対象の個体の適温範囲をカバーするように、ケージの上下で温度勾配を作るよう努力しましょう。
温度勾配を適切に作り出すには、適切なバスキングライト選びが大切です。
紫外線灯とバスキングライトの選び方の記事で詳細な解説をしています。
【Step.4】ケージ下部が適湿の上限になるよう調整
ケージ内にしっかりと温度勾配ができたら湿度の調整をします。
ケージの下部が適湿の上限になるように部屋全体の湿度を調整しましょう。
湿度は温度の変化によって上下します。
ケージの下部で一番温度が低くなる場所が適湿の上限あたりであれば、そこからケージ上部に行くに従って徐々に湿度が下がるようなグラデーションができます。
季節によって加湿器や除湿器が必要になりますので、今何が必要なのか湿度を確認しながら決めましょう。基本的な温湿度管理はこれで完成です。
加湿器や除湿器はお持ちでない方も多いと思います。
おすすめのタイプも解説していますので、気になる方は読んでみてください。
温度より体感で分かりづらいので、湿度の調整にまで気が回らないこともあると思います。
しかし、湿度は脱皮不全という病気と大きな関係がある、とても重要な飼育条件の 1 つです。
脱皮不全について解説した記事があるのでこちらもチェックしてみてください。
Step.4 の詳細はこちら!!
【Step.5】カメレオンの様子で微調整
実際にカメレオンの様子を見て、温湿度の微調整を繰り返します。
カメレオン自身がケージのどこにいたがるのか、数日かけて観察してみましょう。
- ケージの中を歩きまわっている
- 温度は適正
- バスキングライトから離れない
- 全体に寒い
- 床付近でじっとしている
- 全体に暑い
通常は上下運動を含む活発な動きが見られるのが適正な温度設定の目安です。
逆にバスキングライトの近くから離れなかったり、床の近くでじっとしている場合は調整が必要です。
温度計の数字を確認しながら、温度勾配を崩さないように注意しながら温度を上げ下げして様子を見ます。
特に暑すぎはすぐ命に関わるので、床付近でじっとしている場合は早急な対応が必要です。
温湿度管理は一度設定を決めたら終わりではありません。
- その日の天気
- 季節単位の変化
- 年単位の気候変動
など、さまざまな要因で常に温度や湿度が変化し続けます。
手順がわかったら、あとはひたすらそれが実現できるように調整し続けることが温湿度管理の最も重要なところです。
24 時間 365 日、常にカメレオンにとって快適な温湿度を維持できるよう、かんばってください。
温度計の数字にとらわれることなく、生体の様子をよく観察して調整することが大切です。
最新のエアコンを持ってしても、カメレオンの快適な室温を維持するのは難しいです。
わが家がどのように温度を維持しているかのコツも下のほうで紹介しています。
Step.5 の詳細はこちら!!
カメレオンの適温適湿について
カメレオンの種ごと、個体ごとに適温や適湿が違うということを述べました。
基本的にはブリーダーや販売店がその個体について最も熟知しているはずです。
しかし、残念ながらブリーダーや販売店に聞いてもしっかりとした答えが得られないこともあります。
そういった場合は爬虫類の研究者が生息地で調査してくれたデータや、先輩飼育者の暗黙の常識もあるので参考にしてみましょう。
温度は野生のデータもある
上記の画像はBIAZA(英国およびアイルランドの動物園水族館協会)がファーガソンゾーンの研究を行った際の資料から作成した、野生のカメレオンの生活環境の気温データです。
たとえばパンサーカメレオンでいえば、
- ホットスポット
- 35 〜 40℃
- 昼間
- 25 〜 30℃
- 夜間
- 18 〜 24℃
という野生環境で生活していることがわかります。
この数字を再現すれば、ある程度は野生環境の再現ができます。
【参考】BIAZA Reptile and Amphibian Working Group UV-TOOL
ペットには優しめの条件がいい
しかし、これはあくまで強い個体はこの環境でも生き残れるということで、飼育環境にそのまま当てはめるのはおすすめできません。
たとえばペットの犬を“野生の環境”で飼育しても多くの個体が体調を崩してしまいます。
カメレオンも同じで、野生の環境が生存に最も適した環境とは言えません。
野生の環境はサバイバル状態なので、できるだけ多くの個体を健康に育てたいのであれば、より優しい環境を作ってあげるべきです。
わが家の経験から、パンサーカメレオンは夜間 25℃ を下回るとカゼをひく個体が出てきます。
ホットスポットもせいぜい 32℃ あれば十分です。
このように、上限や下限の数字は範囲を 5 〜 10℃ 狭めてあげたほうが良い結果につながることが多いです。
どうしても適切な温度がわからなかったり、今の環境に問題がある場合はこちらの資料も参考にしつつ試行錯誤してみてください。
補足:種の特性ごとに一定の傾向が読み取れる
BIAZA の研究データから、ある程度一致した傾向が読み取れます。
パンサーカメレオンやエボシカメレオンなど、平地に生息するカメレオンは比較的高温を好み、標高の高い場所に生息するジャクソンカメレオンやパーソンカメレオンはそれよりも控えめ。
地表棲のヒゲカレハカメレオンやマユダカヒメカメレオンはさらに低温を好む、というよいうような感じです。
ここにデータがない種の場合も、種分類や生息地などが近い種のデータを参考にすることで、かなり現実的な環境を推測することができます。
湿度は50〜60%くらいが無難
気温については研究データがありますが、湿度についてはカメレオンの生息地のデータがありません。
しかし、今までの先輩飼育者たちの経験則から、日中は 50 〜 60% 前後の湿度を保つのがおすすめです。
夜間はそれより高めを維持します。
これはカメレオンの生息地の近くの気象情報が、多くで大体これくらいの湿度であることが根拠になっています。
実際の生息地の森林ではなく人が住んでいる場所でのデータですが、極端に外れたデータではないでしょう。
またそのセッティングで多くのカメレオン飼育者が健康にカメレオンを飼育できていることもそれを裏付けています。
特別な理由がない場合は、日中の湿度は 50 〜 60% 程度を目安に維持しましょう。
湿度の調整はカメレオンの脱皮に関する病気である、脱皮不全と深い関わりがあります。
もし脱皮不全になってしまった場合は、湿度をはじめ飼育環境の様子を獣医の先生に伝えた上で改善点についてアドバイスをもらいましょう。
【冷暖房器具】冷暖房はエアコンがおすすめな理由
さまざまな冷暖房がありますが、カメレオンの温度管理に最も適しているのはエアコンです。
基本的にはエアコンを使って温度管理をすると思っていただければ間違いありません。
エアコンがおすすめの理由3選
わが家ではカメレオンと関係なく、冷風扇、扇風機、ガスファンヒーター、電気ストーブ、電気ファンヒーターなどを使用したことがあります。
それらと比較してもエアコンは最もカメレオンに適した冷暖房であると感じています。
なぜエアコンがカメレオンの温度管理におすすめなのか、その理由は次の 3 つです。
- 夏はエアコンしかない
- 不在時の暖房は限られる
- 細かな温度調整が必要
夏はエアコンしかない
夏に部屋を涼しくする方法はエアコン以外にありません。
エアコン以外にも涼しくなるアイテムはありますが、どれも効果が薄いか部屋の中で温度の融通をしているだけです。
一例として、
- 扇風機
- 室内の空気をかき混ぜるだけ
- 冷風扇
- 気加熱を利用するが効果は限定的
- スポットクーラー
- 部分的に涼しくなるが屋外に排気しないと逆に暑くなる
などです。
クーラー以外は夏の温度管理には向きません。
不在時の暖房は限られる
冬の暖房には夏の冷房より多くの選択肢があります。
しかし、カメレオン用の暖房として使用できる機器は限られます。
その理由は、人が不在でも暖房を動かす必要があるからです。
強力な灯油ストーブやガスヒーター、手軽さが魅力な電気ヒーターなど、これら全てに不在時の火災の可能性があります。
カメレオンのためには人がいるかいないかに関わらず24時間365日、常に温度を適温に保たなければなりません。
火災の心配がない暖房は選択肢が限られます。
エアコンであれば、たとえ人が不在でも火災の心配はありません。
【参考】 家庭での火災原因〜暖房器具〜【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP – さんぽのひろば|産業保安ポータルサイト| 産業保安に関する情報をお届けします
細かな温度調整が必要
冬の暖房で、エアコン以外にも火災の心配のないパネルヒーターやオイルヒーターもあります。
しかし、これらの暖房器具は細かい温度調整がしづらいです。
カメレオンの温度管理では大きくても目標の室温から2℃程度の温度変化に納めたいところです。
この繊細な温度調整を行える暖房器具はエアコン以外にありません。
電気代もエアコンが一番お得
3 つの理由で、カメレオンの温度管理にはエアコンが最適であると述べました。
ここで問題に上がるのが、光熱費です。
エアコンの電気代は高額だ、というイメージがあると思います。
実際にわが家ではカメレオンと暮らし始めて、電気代は上がりました。
しかし、これはエアコンの電気代が高いのではなく、24 時間冷暖房を動かし続けていることの影響です。
エアコンは電気を使用する冷暖房の中で突出して熱変換効率が高く、最も電気代を安く抑えられます。
他の冷暖房器具を使用すると、もっと高額な光熱費がかかることは明白です。
【参考】エアコン「暖房に不向き」はウソ 正しく使い最強の省エネ – 日本経済新聞
他の方法ではカメレオンの生活環境を整える目的には適さないか、もっと高額な光熱費がかかってしまいます。
カメレオン飼育の温度管理においてはエアコンが最も優れた選択肢であると言えます。
【加湿器&除湿器】湿度調整にどのタイプを使うか
ここからはカメレオンの飼育環境におけるもう一つの重要要素、湿度の管理です。
湿度を上げるのには加湿器、下げるのには除湿機を使います。
それぞれさまざまなタイプが販売されている中で、どのタイプがカメレオン飼育に向いているのか解説します。
加湿器は気化式がおすすめ
加湿器はエアコンと同じくらい活躍の時間が長い、日本でカメレオンと暮らすなら必須のアイテムです。
たくさんの製品が販売されていて、どれが良いのかよくわからないと思います。
どのような違いがあり、どれがおすすめなのかみていきましょう。
加湿器は主に 4 つのタイプが販売されています。
- スチーム式
- 超音波式
- 気化式
- ハイブリット式
カメレオン用と考えると、加湿器は以下の3つの理由で気化式がおすすめです。
- 熱を持たない
- ちゃんと湿度を上げられる
- 自動コントロールができる
気化式加湿器
気化式加湿器の特徴
メリット
- 熱を出さない
- カメレオンにも安全
- 湿度センサーあり
デメリット
- 加湿力に対して大型
- メンテナンスが頻繁
扇風機で洗濯物を乾かすのと同じ
熱を出さないので温度管理に影響がない
扇風機で洗濯物を乾かしているような仕組みです。
フィルターで吸い上げた水に風を送り、気化した水分が湿度を上げます。
4 つのタイプの中で唯一、ほとんどの製品で周りの湿度を測るセンサーがついています。
スチーム式のような熱を持たず、超音波式と異なりきちんと湿度を上げられるのが良い点です。
また、湿度センサーがついている製品が多く、ある程度湿度の自動コントロールが可能です。
ただし、他のタイプより大型なのが欠点の一つです。
同じ加湿性能、タンク容量の他タイプの製品よりも大型になりがちです。
仕組み上大きな給水フィルターが必要なことから、体積的に不利であることが原因だと思います。
そして最も大きなデメリットは、お手入れの頻度が高いことでしょう。
わが家の場合は冬場になると2週間に1度フィルターのつけおき洗いなどの清掃を行なっています。
さらに、どのメーカーの製品も本体内部の清掃ができない構造になっていて、数年おきに分解清掃も行なっています。
清掃頻度のデメリットは大きく、面倒に感じることが多いです。
しかし、熱を持たないため安全で室温にも影響がないのは、カメレオンと生活するうえで他に代え難いメリットです。
手間はかかりますが、カメレオン飼育に一番向いているタイプは気化式であると感じています。
除湿器はコンプレッサー式がおすすめ
カメレオン飼育では夏は冷房で湿度が下がり、冬は暖房で室内を温めるため相対的に湿度が下がります。
除湿器が活躍するのは梅雨の時期くらいです。
日本の気候だと、加湿器よりは出番が少ないですが、その年の気候によっては重要になります。
初めから準備せずに、梅雨の時期の湿度の上昇具合を見てから用意しても良いでしょう。
念のため、除湿器についても解説しておきます。
除湿機も加湿器と同じく複数のタイプが販売されています。
- コンプレッサー式
- デシカント式
- ハイブリッド式
カメレオン飼育でのおすすめはコンプレッサー式です。
その理由は以下の 2 点です。
- 室温が高い時に高効率
- 発熱がない
コンプレッサー式除湿器
エアコンの除湿機能を抜き出したような仕組みです。
原理上室温が高いほど効率が上がります。
しかも、他のタイプと異なり、基本的には発熱しません。
やや動作音が大きいですが、カメレオンの飼育環境とは相性が良いです。
ハイブリッド式よりも安価なのも魅力です。
加湿器も除湿器も対応畳数2倍がおすすめ
加湿器と除湿器それぞれどのタイプが良いかが分かりましたが、もう一つ気をつける点があります。
それが、対応畳数です。
製品ごとにメーカーが公表している目安の対応畳数が記載されています。
しかし、人の生活ではカメレオン飼育のような特殊な温度と湿度の条件ではないので、対応畳数をそのまま当てはめるとカメレオンには能力不足になりがちです。
わが家のおすすめは、設置する部屋に対して対応畳数の 2 倍の製品を選ぶことです。
6 畳の部屋に設置するのであれば 12 畳用と言う感じの選び方をします。
やや過剰に思われるかもしれませんが、それだけカメレオンの生活環境は特殊だと言うことです。
加湿器も除湿器も大は小を兼ねるので、対応畳数広めの製品が安心でしょう。
カメレオンの温湿度管理のコツ
実際に室温やケージの中の温度を適切に保とうとすると、それがいかに難しいことであるか実感できると思います。
カメレオンの生活環境としての温湿度管理はとても繊細で、かなり気を配らなければカメレオンの健康を守れません。
そこで、温湿度管理をより適切に行うためのコツについて考えてみます。
カメレオンの温湿度管理のコツは以下の 3 つです。
- 温度管理は設置場所選びが8割
- 高性能なエアコンに買い替える
- スマートホームの導入
どういう意味が解説します。
温湿度管理は設置場所選びが8割
カメレオンの温湿度管理を適切に行うのには、設置場所をいかに適切に選ぶかが全体の要素の8割を占めます。
設置場所を変えるなんて身も蓋もないと言われそうですが、ここが温度湿度の管理に最も大きな要素です。
温度の変化に影響する主な要素は以下の 3 つです。
- 気密性
- 部屋の広さとエアコンの性能
- 窓からの陽射し
これらは全てケージの設置場所を見直したり、対策アイテムの活用である程度改善することができます。
ケージの設置とレイアウトの記事でケージの設置場所選びを解説していますので、うまくいかない時はこちらも参照しつつ調整してみてください。
高性能なエアコンに買い替える
こちらもケージの設置とレイアウトの記事で少し触れていますが、最近のエアコンは本当に高性能です。
特に 200V 対応の上位機種は、気候が安定しているとエアコンだけで温度の変化を 3℃ 程度の範囲まで追い込んでくれます。
10 年前のエアコンではとても考えられないほどの精度です。
お金もかかるので、温度管理のためだけにエアコンを買い替えるのは難しいかもしれません。
しかし、もし買い替えのタイミングがあれば少し良いエアコンにしておくと良いでしょう。
スマートホームの導入
設置場所の選定に最善を尽くし、エアコンが高性能でも温度管理を全て手動で行うのはとても大変です。
そこで役に立つのが、スマートホームの導入です。
温湿度計と連動してエアコンや加湿器や除湿器をコントロールできる製品であれば、温度制御をかなりの割合で自動化できます。
特に昼間に急激な温度上昇があった時や、季節の変わり目で明け方だけ急激に冷え込んだりといった際のコントロールは、ずっと温湿度計を見張っていないと難しいです。
こういった温度変化に自動で反応し、エアコンを制御してくれるのは本当に助かります。
わが家はスマートホームの導入で、かなりの省力化に成功し、カメレオンとの暮らしがとても快適になりました。
一例としてわが家で導入している、ケージ内に設置できるスマートホーム連携タイプの防水温湿度計を紹介していますので、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
補足:温度で湿度が変化する
梅雨は湿度が高く、冬は室内の湿度が低いように、気候によって湿度が変動するのは体感としてよくわかると思います。
しかし、実は温度の変化が湿度の変化に大きな影響を与えます。
温度の変化がなぜ湿度の変化に影響を及ぼすのかというと、私たちが普段使用している湿度の指標は相対湿度というものだからです。
室内にある水分の量が変わらなくても、室温が変わると湿度が変わってしまいます。
一体どれくらいの温度差でどれくらいの湿度変化があるのでしょうか?
こちらが各温度と相対湿度の時、1m3あたりに何gの水蒸気が含まれるかの一覧表です。
例えば、25℃/50% の相対湿度の水蒸気量のまま、室温が 9℃ 上がった時の相対湿度は 30%。
気温の変化だけでここまで大きな差ができてしまうのです。
以下の水蒸気量は全て一緒!!
- 25℃ / 50%(11.5g/m3)
- 29℃ / 40%(11.5g/m3)
- 34℃ / 30%(11.3g/m3)
25℃と29℃の違いはほんの4℃しかないのに相対湿度では10%もの違いがあります。
季節によっては1日の寒暖差は10℃以上になるので、気をつけていないとあっという間に4℃程度の温度変化は起こってしまうでしょう。
逆にいうと、温度を一定に保つことで湿度の変化を最小限に抑えられます。
とにかく温度管理をしっかりすることが、湿度の安定にもつながるということです。
カメレオンの温湿度管理のまとめ
今回はカメレオンの生活環境を整える上で最も大変な温湿度管理について解説しました。
特に温度の管理はカメレオンと暮らしていると常に気の抜けない重要なポイントです。
まずは、お世話になるブリーダーやお店の温湿度管理がどのようなものか確認し、一定の期間きちんと温湿度管理ができるかシミュレーションしてみましょう。
カメレオンをお迎えする前に、可能な限り安定して温湿度管理ができる方法を見つけておくことが重要です。
そして今あるエアコンとケージの設置場所でお迎えするカメレオンに適切な温度と湿度が維持できるかを確認してみてください。
あまりにも難しいようならケージの設置場所の変更や、より高性能なエアコンへと買い替えることも検討が必要です。
また、どれだけ環境が整った状態でも温度と湿度を一定に保つと言うのはとても労力が必要です。
スマートホームの導入でかなり省力化できますので、こちらも早い段階で検討されると良いでしょう。
本ブログでは今回の温湿度管理のほかに、ケージの選び方や止まり木と観葉植物の選び方を解説した記事も書いています。
飼育用品の選び方など、カメレオンをお迎えする準備についての記事を準備編カテゴリーにまとめていますので、ぜひ読んでみてください。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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