カメレオンの部屋んぽ!!コース作成と注意点!【解説】
この記事では、カメレオンを部屋でお散歩させる“部屋んぽ”について解説します。
カメレオンは一般的なイメージよりもずっと運動好きです。
放っておくと一日中歩き回っていたりします。
一方で犬の散歩と違って、カメレオンの部屋んぽではカメレオンの特性にあったコースを作ってあげる必要があります。
そこで、
- 部屋んぽの必要性
- 部屋んぽコースの作り方
- 部屋んぽさせる時の注意点
といったことを、ほぼ毎日カメレオンを部屋んぽさせているわが家が解説します。
カメレオンを安全に部屋んぽさせる方法をまとめてみました。
カメレオンをケージからほとんど出したことがない、という方はぜひ参考にしてみてください。
カメレオンに“部屋んぽ”は必要?
カメレオンにとって、そもそも部屋んぽが必要なの?と思われる方もいらっしゃると思います。
わが家としては、「できるだけ部屋んぽをさせた方が良い」と思っています。
中にはカメレオンの部屋んぽに批判的な意見もあるとわかってはいますが、
- カメレオンはとても運動好き
- 部屋んぽができると楽しそう
- 運動量が増えると食べられる量が増える
といったことを考えると、部屋んぽはカメレオンにとって非常にメリットがたくさんあるからです。
カメレオンはとても運動好き
まず、前提としてカメレオンはとても運動が好きであることを覚えておいて欲しいと思います。
一般的なカメレオンのイメージは、
- 動きがゆっくり
- 忍者のように獲物が寄ってくるのをじっと待つ
- あまり動かない生き物
という感じだと思います。
しかし、カメレオンはそのイメージを大きく裏切る、とても好奇心が強くアクティブな生き物です。
わが家の例だと、若いパンサーカメレオンのオスを部屋んぽさせると、平気で 1 日 30m くらいは歩き回っています。
パーソンカメレオンなんかだと、種的にあまり活動的ではなかったりしますが、それでも「ケージだけで十分!! 」といったケースはごくごく稀です。
日本の住宅環境を考えると、カメレオンの運動量をカバーできるような広いケージをおいている方は少ないので、できるだけ部屋んぽをさせてあげるのがおすすめです。
ケージのサイズが大きい、小さいという感覚がわからない方はケージの選び方の記事がありますのでこちらを参考にしてみてください。
部屋んぽができると楽しそう
実際にカメレオンを部屋んぽさせてみたことのある人であれば、どれだけ部屋んぽを楽しんでいるか知っています。
一度部屋んぽを覚えると、多くのカメレオンが部屋んぽの催促をするようになるほどです。
あまり広いスペースが取れなくても、ちょっとだけケージの外で遊べるだけでカメレオンの生活の質を上げてあげることができます。
「カメレオンを部屋んぽさせたいけど、広い場所がない!! 」という場合でも、ケージ以外の場所に遊びに行けるのがカメレオンにとっては楽しいのです。
ただケージの中に閉じ込めておくよりも、少しでいいので部屋んぽをさせてあげるほうが、適度な刺激のある楽しい生活ができると思います。
運動量が増えると食べられる量が増える
部屋んぽをすることで、アダルトのカメレオンでも食事量を相対的に増やすことができます。
カメレオンはアダルトになると肥満を避けるため、多くの場合で食事制限をします。
大人になっても成長期と同じくらい食欲があって、食べるだけ活き餌を与えると簡単に太ってしまうからです。
しかし、部屋んぽをして運動量を増やしてあげることで、エネルギー消費が増えた分だけ余分に食べさせてあげられます。
同じ性別、年齢、体格の人でも、運動量が多い人は少ない人よりたくさん食べても太らないのと同じです。
カメレオンは 1 日の中で食事を一番楽しみにしています。
楽しい部屋んぽができるうえ少し多くごはんが食べれるので、部屋んぽはカメレオンにとってはメリットがたくさんあるのです。
適切な給餌頻度や量についてまとめた記事もあるので、カメレオンの体型を見つつ運動量と食事量のバランスをとってあげてください。
部屋んぽコースの作成
ここからは、カメレオンの部屋んぽをさせるコースの作り方を解説します。
ペットとして流通しているカメレオンのほとんどは樹上棲です。
そのため、部屋の中でお散歩させると言っても、床を歩き回ってもらうのはおすすめしません。
カメレオンにとって安全で、楽しく運動できる専用のお散歩コースを作ってあげることが大切です。
- コースの設置場所の注意
- おすすめの材料
- コースの設置方法
といったことを順に見ていきましょう。
コースの設置場所の注意
カメレオンの部屋んぽコースは、設置場所によく気をつけましょう。
部屋んぽをするときは、カメレオンにとって危険がないことが何よりも大切です。
- 熱いもの
- バスキングライト
- スチーム式加湿器
- 暖房器具
- 動く家電
- 扇風機
- お掃除ロボット
- 移動できない家具の裏
- 戸棚
- ピアノ
- ドアや空いている窓
など、カメレオンのケガや脱走の原因になるものたちに近づけないことが理想です。
なかなか住宅事情的に難しいことが多いと思いますが、できるだけカメレオンが安全に部屋んぽできる場所を考えます。
特にケージのすぐ近くにあるバスキングライトなどの照明は、知っている限り火傷の理由 No.1 です。
こればかりはどうしても動かせないので、カメレオンが自力で照明類に近づけないように工夫が必要です。
【参考】 Chameleon Medical: Burns – Chameleon Academy
熱くなる家電や動く家電は部屋んぽさせる場所に置かないか、部屋んぽ中は電源を切っておくほうが安全だと思います。
スチーム式の加湿器を使っている場合は、蒸気を含めてカメレオンが絶対触れない位置に設置します。
移動できない家具の裏やドアや窓に近づけると、致命的なケガや脱走の原因になります。
カメレオンが行ける範囲には、できるだけ大型の家具や窓やドアがないほうが安心です。
わが家では場所の都合上、大型の家具やドアが避けられなかったので、カメレオンが床に降りれないように工夫をしています。
おすすめの材料
いきなりカメレオンのお散歩コースを作って、と言われてもよくわからないと思うので、おすすめの材料も紹介しておきます。
- カーテン&カーテンレール
- 大型の観葉植物
- ロープ
- ワイヤーネット
- 人工枝&ツタ
- 木の枝
手軽さを考えた上記の順に紹介してみます。
カーテン&カーテンレール
- はじめから家にある
- カメレオン心くすぐるコース
- 脱走の可能性がある
カーテンやカーテンレールは、多くのお家にあって新たに準備する必要がないのが嬉しいポイントです。
しかも、なぜかカメレオン心がくすぐられるらしく、ほとんどのカメレオンがカーテンレール大好きです。
ただし窓とセットなので、窓の戸締まりをしっかりすること、カーテンを伝って予想外の場所に脱走されないような工夫をしておくことも大切になります。
大型の観葉植物
- 買ってくるだけで使える
- 天然素材で優しい
- 上下運動が中心
人の胸〜背丈くらいある大型の観葉植物も、買ってくるだけで作れるお散歩コースです。
天然の素材なので、カメレオンの手足に負担がかからないので安心できます。
基本的に縦長の形なので、歩き回るようなお散歩はできません。
ロープ
- レイアウトの自由度が高い
- ケージと直結できる
- 設置に手間がかかる
ロープは最もレイアウトの自由度が高いコースが作れます。
カーテンレールや観葉植物とつなぐことで、ケージからカメレオン自身で出入りできるようになるのが良い点です。
ただし、設置するのに少し手間がかかるのが難点です。
ワイヤーネット
- 立体的なコースを作れる
- 大きくても比較的軽い
- はまり込みの危険がある
金属で作られた格子状のパネルで、結束バンドでつなぐことで立体的なコースを作れます。
木材で作るよりもずっと軽く、大きなものでも扱いやすいです。
生体のサイズとあっていないと、頭が格子にはまり込んでしまう危険がるので注意が必要です。
人工枝&ツタ
- ロープよりおしゃれ
- コースの自由度は高くない
ケージの中に使うような人工の枝やツタを使って部屋んぽコースを作る方法です。
なかなかコースを自由に作るというのが難しいですが、ただのロープよりは見栄えが良いです。
木の枝
- 複雑で遊べるコースになる
- 設置が大変
- 入手性に難がある
天然の木の枝で、大ぶりのものを吊っておく方法です。
とても複雑でカメレオンが遊びやすいコースですが、設置が大変です。
そもそも入手性はかなり悪く、なかなか手に入れるのが難しいという問題もあります。
コースの設置方法
カメレオンのお散歩コースは、設置方法も悩みの種です。
わが家でどのようにコースを設置しているのかも解説しておきます。
多くの方が家を傷つけずにコースを設置したいと思うので、基本的に現状復帰できるようなアイテムです。
- コース全体の固定
- つっぱり棒
- 壁美人
- 部分的な固定
- S 字フック
- 結束バンド
コース全体の固定
わが家では部屋んぽコース全体の固定に、つっぱり棒や壁美人を多用しています。
どちらも数 kg 以上のしっかりとした耐荷重があるうえ、適切に使えば家を傷めることなく取り外し可能です。
ロープを部屋に渡すときや、大きな遊具を立てて固定したいときなど、コース全体を支えるような場合はこれらのアイテムがおすすめです。
つっぱり棒には水平に設置するもののほかに、床と天井に垂直に固定できるものもあります。
工夫次第で色々なことに使えて便利です。
壁美人はホッチキスで金属製のプレートを壁に固定できる便利グッズです。
強力に固定できるのに取り外したとき跡がほとんど残らないので気に入っています。
部分的な固定
細かなパーツの固定には S 字フックや結束バンドを使うことが多いです。
S 字フックはロープや何かをぶら下げる際に、結束バンドは棒状のものを固定するのに役立ちます。
特に結束バンドは輪っかにしてクサリ状にしたり、3 つ以上のものをまとめて固定できるので便利です。
部屋んぽ中の注意点
体の小さなカメレオンの部屋んぽでは、人にはなんでもないようなことが危険につながります。
わが家では次の 4 つのことに気をつけて部屋んぽをさせています。
- とにかく目を離さない
- 一緒にいても安心しない
- 必要なら行動範囲の制限をする
- カメレオンも木から落ちる
とにかく目を離さない
カメレオンの部屋んぽ中は、とにかくカメレオンから目を離さないことが大切です。
動きはゆっくりなカメレオンですが、好奇心が強いので私たちが思っている範囲でじっとしていることはまずありません。
しかも、カメレオンは人がいるときといないときで行動が変わることが多いです。
カメレオンを単独で部屋に残していると、ほぼ確実に大変なことになります。
必ずカメレオンから目を離さず、危険な行動をしていないかに気を配ることが大切です。
カメレオンを泳がす方法もある
カメレオンが危険な行動をする前に止めるのが基本です。
しかし、あえてカメレオンを泳がせてどのような行動をするか確認する方法もあります。
別室でネットワークカメラの映像を確認しながら、人がいないとどのような行動をするのかを確認する方法です。
多くの個体で私たちが想定もしないような行動をしてくれるので、どのような対策が必要なのかの参考になります。
わが家では、特に新しい部屋んぽコースを作ったときは、一度泳がせてみるというのを習慣にしています。
一緒にいても安心しない
カメレオンの部屋んぽ中は、例え同じ部屋にいても安心してはいけません。
カメレオンは人がどこを見ているのかを理解していて、自分に注意が向いているかどうかも気にしています。
私たちが何かに熱中していたり、居眠りをしていたりするとしずかに予想外の行動をはじめます。
カメレオンたちに油断しているのを悟られないように注意が必要です。
必要なら行動範囲の制限をする
カメレオンの部屋んぽでは、危険な場所に近づけないよう行動範囲を制限することが大切です。
「ここは危ないから近づかないでね」と言ってもカメレオンは聞いてくれません。
1 度でも危険な場所に近づくそぶりがあれば、先手を打って行動制限をかけていきます。
そこで役に立つのが、
- 物理的に距離をとる
- カメレオン返しをつける
- ほかに興味を引くコースを作る
といった方法です。
物理的に距離をとる
基本的な制限方法として、物理的に距離を取ることが有効です。
わが家で考えている安全な距離の目安は、以下のとおりです。
- 上向きと水平方向
- カメレオンの頭胴長の 1.5 倍
- 下向き
- カメレオンの頭胴長の 2 倍
上向きと水平方向はがんばっても頭胴長の 1.5 倍程度までしか届きません。
しかし、下向きに限ってはしっぽでぶら下がることができるので、最大で頭胴長の 2 倍は余裕をみておきます。
カメレオン返しをつける
どんな場所でも距離を取れれば良いですが、動かせない家具などがある場合は“カメレオン返し”をつけます。
カメレオンは爪のかからないツルツルな材質の平面を絶対に登れません。
この性質を利用して、わが家ではプラダンを使ってカメレオン返しをつけることが多いです。
例え手が届いても、登れなければ結果的に行動範囲の制限ができます。
注意点は、プラダンのフチに手がかかるとカメレオン返しの意味がなくなってしまう点です。
ほかに興味を引くコースを作る
どうやってもカメレオンが諦めてくれない場合は、ほかにもっと魅力的に見えるコースを作ると気をそらすことができます。
あくまで対症療法的なことですが、新しいコースに熱中しているあいだに、行って欲しくない場所への興味を忘れてくれることも多いです。
経験的には半年に 1 度くらいの間隔で新しいコースを用意してあげると、無茶な行動をせずに遊んでくれます。
カメレオンも木から落ちる
カメレオンも落下することがあります。
多くの個体が慎重な性格で、樹上生活に特化しているので毎日落ちるようなことはまずないです。
しかし、極たまに落ちることがあるのを忘れてはいけません。
私たちが気づかないうちに静かに落ちていることもあるので、常に部屋んぽコースの上にいてくれると思い込まないようにします。
もし床に落ちても危険なものに近づくことがないように、事前に配慮をしておくことが大切です。
カメレオンの部屋んぽ まとめ
今回はカメレオンの部屋んぽについて解説しました。
体が小さく樹上棲のカメレオンを部屋んぽさせるのには、準備と配慮が欠かせません。
犬や猫を部屋の中で遊ばせるのとは違った独特の注意点があるので、ぜひこの記事を参考にしっかりと用意をしてみてください。
カメレオンは私たちが思っているよりずっと運動が好きでアクティブな生き物です。
健康のためにも、カメレオン自身の生活の質を上げるためにも、できる範囲で部屋んぽをさせてあげてほしいと思います。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。