カメレオンの適切なハンドリング&仲良くなるたった1つのルール!!【解説】
この記事では、お迎えしたカメレオンをハンドリングする手順と、あなたがカメレオンと仲良くなるための大切なルールについて解説します。
あなたがカメレオンをお迎えしたということは、きっとカメレオンと仲良くなりたいと思っているはずです。
すでにカメレオンと仲良くなった飼育者が、カメレオンを手の上に乗せたりしているのを見て憧れている方も多いのではないでしょうか?
カメレオンと直接触れ合うハンドリングでは、“カメレオンの気持ち”を無視しないことがとても大切です。
嫌がっているのを無視してハンドリングをすると、あなたとカメレオンの間に致命的な溝ができてしまいます。
ハンドリングをする際には、カメレオンが“何を考えているか”をしっかり読み取った上で触れ合うことが欠かせません。
しかし、カメレオンは哺乳類と表情の表れ方が違い、慣れてないと何を考えているのかが分からないと思います。
- 表情の読み方は?
- 威嚇してくる原因は?
- ハンドリングのコツは?
初めて触れ合うカメレオンの独特な表情から“カメレオンの気持ち”を理解するのには時間がかかります。
そこで今回は、カメレオンをお迎えしたけれど、どう接していけばよいか分からない、というあなたのために、カメレオンの表情の読み方とハンドリングの方法を解説します。
事前に表情の読み方や、カメレオンの嫌がることを知った上でハンドリングに臨めば、早い段階でカメレオンと信頼関係を築くことができます。
お迎えしたカメレオンと信頼関係を築いて仲良くなるためにとても大切な内容なので、ぜひチェックしてみてください。
結論から知りたい方はこちら!!
カメレオンをハンドリングすることには賛否があります。
ハンドリングをするかどうか悩んでいる方は、ハンドリングについてわが家の見解をまとめた記事を書きましたので参考にしてみてください。
カメレオンと仲良くなるためのルール
まず、カメレオンと仲良くなるために大事なルールについてです。
結論から言うとカメレオンと仲良くなるルールは1つだけ。
これだけです。
例外もありますが、普通は嫌がることをしなければ仲良くなれると言うことです。
このルールはカメレオンをハンドリングする際に、最も重要なポイントといえます。
今後カメレオンと触れ合っていく中で、守らないといけない基本的な考え方なのでよく覚えておきましょう。
例外を除いて、嫌がることをしなければカメレオンと仲良くなれる。
こう考える理由は大きく分けて3点です。
- 普通は時間が経てば慣れる
- 嫌なことをした人を忘れない
- 仲良くなれない例外もある
以上の3つです。
それぞれどういった理由でそう考えるのか、解説します。
普通は時間が経てば慣れる
まず、普通はカメレオンと暮らしていけば時間とともに慣れていきます。
それは、カメレオンがあなたのことを
- ごはんを持ってくる人
- 捕食者ではない
と徐々に理解していくからです。
特にごはんを与えることはカメレオンとの距離を縮める大切なコミュニケーションです。
「あの人が来ると一緒にごはんが来る!」と気づくと、あなたのことをポジティブに捉えるようになります。
さらに、カメレオンがあなたのことを自分にとっての天敵でないと分かれば信頼関係が築けます。
嫌なことをした人を忘れない
普通は時間とともに信頼関係が深まっていきます。
しかし、カメレオンがあなたから「嫌なことをされた!」と感じると、その関係に亀裂が入ってしまいます。
カメレオンはとても記憶力がいいので、その嫌なことの原因(あなた)を忘れません。
一度カメレオンからの信頼を失うと、もう一度信頼を取り戻すのにはとても長い時間が必要です。
信頼関係ができていないお迎え直後は特に、カメレオンが嫌がることをしない配慮が大切です。
仲良くなれない例外もある
普通はカメレオンの嫌がることをせずにゆっくりと信頼関係を築けば仲良くなれます。
しかし、これには例外もあります。
それが、そのカメレオンの性格です。
例えば人には性格があり、誰とでも仲良くなれる人、一人が好きな人、好き嫌いが激しい人など様々です。
これと同じことがカメレオンにも当てはまります。
わが家の例で言うと、パンサーカメレオンのめーちゃんは、どうやっても仲良くなるのが難しかったです。
とにかく構われるのが嫌で、家族の誰であろうと触ると必ず怒っていました。
(怒っているめーちゃんも可愛く魅力的でした!)
カメレオンにも個性があるので、最悪の場合は仲良くなれないかもしれないということも覚えておきましょう。
ただし、多くの場合で嫌なことさえしなければカメレオンと仲良くなれますのでご安心ください。
カメレオンが嫌がることとは?
先ほどカメレオンの嫌がることをしなければ仲良くなれる、と述べました。
しかし、最初はなぜ怒ってしまったのか分からなかったり、何に怯えているの気付けないと思います。
具体的にカメレオンが嫌がることとはどういったことなのでしょうか?
ハンドリングの際に知らず知らずのうちにカメレオンに嫌われてしまわないように、事前に何を嫌がるのか知っておきましょう。
カメレオンが嫌がることは次の7つです。
- 素早い動きをする
- 正面や背後に回り込まれる
- 自分の頭上になにかが現れる
- 胴体を掴まれる
- 頭を触られる
- 痛いことをされる
- 怖い思いをする
このうち1〜4はカメレオンと信頼関係が深まれば、ある程度許容してくれる個体が多いです。
しかし、お迎え直後は念のため全てを意識して避けておいた方がよいでしょう。
中にはこんなことが嫌なの?となぜ嫌がるのかよくわからないものもあるのではないでしょうか?
嫌がる理由を知っておくとカメレオンの気持ちが理解しやすいのでより早く仲良くなれます。
なぜこれら7つを嫌がるのか見てみましょう。
素早い動きをする
カメレオンは私たちのような大きな生き物が素早く動くのを嫌がります。
理由は単純に怖いからです。
カメレオンは自分の動きが速くないことをよく知っています。
危険度がわからない敵(あなた)が素早い動きをすると、反射的に威嚇してしまいます。
お迎え直後は特に意識してゆっくりと動きましょう。
素早い動きというのは、部屋を移動する速さだけでなく、腕を動かすスピードや頭を傾けるスピードなど体の動き全てです。
不要な威嚇など小さなストレスの積み重ねがカメレオンとの信頼関係に影響を及ぼすので注意します。
正面や背後に回り込まれる
カメレオンは体の真正面や背後に回り込まれるのを嫌がります。
理由は2つあり、
- 横から見たときが1番強そう
- 横向きが1番効率良く目を使える
の2つです。
横から見たときが1番強そう
カメレオンは他の爬虫類と違い、横から見たときが1番大きく見えます。
体が縦向きに扁平しているからです。
この体形を最大限活かすため、威嚇時には敵に体側を見せつけるようにします。
信頼関係のできてないうちは高確率で横向きのカメレオンの姿を見かけるはずです。
カメレオンからすると、未知の敵には正面や背中でなく、1番強く見える横向きのほうが安心できるのです。
横向きが1番効率良く目を使える
カメレオンの目は敵に対して横向きの時、最も効率よく使えます。
敵に出会ったとき、カメレオンは戦いを好みません。
自分が強くないし逃げ足が遅いことをことを理解しているからです。
そこで敵を威嚇して時間を稼ぎながら目を使い、どうすれば最速で敵から逃げられるかを考えます。
この時に1番効率よく敵と逃げ道の両方を見ることができるのが横向きなのです。
ご存じの通り、カメレオンの目は非常によく動き、死角はほとんどありません。
しかし、一度に片目で視界に収められる範囲がとても狭いのが特徴です。
敵を見失いたくないけれど、逃げ道をしっかり探したい。
そのためには横を向いて片目で敵を追いながら、もう片方の目で周りの状況を確認するのが効率的です。
逆に正面や背後にいる敵を見失わないためには、少なからず頭を動かしたり、左右の目の役割を入れ替えながら周囲を確認しなければなりません。
カメレオン的には正面や背後に敵がいる状態は不利なのです。
信頼関係のできていないあなたが正面や背後に回り込むと、反射的に横を向き威嚇してしまいます。
最初は横向きのカメレオンと仲良くなるよう心がけましょう。
自分の頭上になにかが現れる
カメレオンは自分の頭上に何かがあるのを嫌がります。
カメレオンは小型の虫などを食べるハンターであると同時に、他の哺乳類や鳥、大型の爬虫類に襲われる被食者です。
とくに動きが速く、存在に気付けないと死を意味するのが鳥類です。
カメレオンは基本的に樹上棲で高い場所で生活しますが、唯一鳥だけは頭上から襲ってきます。
そのため、自分の頭上に何があるのをとても嫌がります。
お迎え直後は特にカメレオンの頭上に手を出したりしないように意識しましょう。
胴体を掴まれる
これはどの生き物でも嫌がることが多いですが、カメレオンも胴体を掴まれるのを嫌がります。
あなたに傷つける意図がなくても、カメレオンにとっては「胴体を掴まれる」=「死ぬかもしれない」と思わせるのに十分な状況です。
カメレオンは一度でも胴体を掴まれるとあなたのことを「危ないやつ」と記憶してしまいます。
一秒を争うような緊急時以外でカメレオンの胴体を掴むのはやめましょう。
頭を触られる
カメレオンは頭を触られるのを極端に嫌がります。
人でも仲良くない人に頭を触られるのはとても不快だと思います。
カメレオンも同じように頭を触られることに強い抵抗があるのです。
理由は胴体を掴まれるのが嫌なのと同じで、命の危機を感じるからです。
しかも、頭を触ることに関しては本能レベルで嫌がります。
かなり人慣れした個体でも頭はなかなか触らせてくれません。
お迎えしたばかりのカメレオンに、あなたが「いきなり頭を触ってくる嫌な人だ」、と記憶されないように気をつけましょう。
痛いことをされる
あたりまえですが、カメレオンは痛いことをされるのが嫌いです。
きっとあなたもよくわかっていて、わざと痛い思いをさせることはないでしょう。
注意するべきなのは、事故です。
よくあるパターンとして、ケージの扉の開け閉めで手足やしっぽを挟んでしまうことがあげられます。
爬虫類の手足を挟んでしまう事故はかなり多いようです。
カメレオンの場合は手足だけでなく、しっぽも要注意なポイントです。
とても長く器用なしっぽは、気付かないうちに扉周辺に伸びていることがあります。
必ず手足としっぽの先端すべてがケージ内に収まっていることを確認してから扉を閉めましょう。
怖い思いをする
こちらもあたりまえですが、カメレオンは怖い思いをするのが嫌です。
カメレオンは怖い思いをすると、そのことをしっかり覚えています。
具体的に何を怖がるのかですが、個体ごとに千差万別です。
例えばわが家のカメレオン達を例にすると、
- 床が怖い
- ハエトリグモが怖い
- カメラが怖い
- 部屋の扉が怖い
- 見慣れぬ人が怖い
などなど、個体ごとに怖がるものが違っています。
その子が何を怖がるかは、良く観察して原因を特定するしかありません。
次の項のカメレオンの表情の読み方を参考にして、極端に怖がったり怒ったりする原因を見つけてみましょう。
カメレオンの表情の読み方
ここからはカメレオンの表情の読み方を解説します。
カメレオンに近づくとき、カメレオンがあなたを見つけるとなんらかの反応があります。
ハンドリングするときは特に、カメレオンの表情を読んで“カメレオンの気持ち”を考えることが大切です。
気持ちから表情が変わるのは主に次の6点です。
- 口元
- 目
- 胴体の形
- しっぽ
- 体色
- 動き
それぞれどういった表情がどんな気持ちなのかみてみましょう。
口元
カメレオンの口元に現れる表情は2つです。
- 喉を膨らませている
- 口を開けている
どちらも威嚇に関する大きなサインです。
これらの表情が表れている時はカメレオンが怒っているか、極端に怯えているので配慮が必要です。
それぞれの意味をみてみましょう。
喉を膨らませている
カメレオンが喉を膨らませているのは、威嚇の証です。
少しでも体を大きく見せるために喉元を舌骨を使って膨らませます。
威嚇の中では中程度の怒り方で、この程度までなら様子を見ながらハンドリングが可能なケースが多いです。
例外はカゼをひいている場合で、口先の方だけ膨らんでいるのが特徴です。
口を開けている
カメレオンが口を開けているのは、“ガチギレ”の証です。
「それ以上何かしたら噛み付くぞ!!」と言う全力の威嚇を表します。
口を開けている際は特別な事情がない限りハンドリングを控えましょう。
例外はバスキングで温まって気持ちよくなっている時と、カゼをひいて息苦しい場合です。
目
目は人と似た表情が出ます。
安心していると丸く優しい目、怒っていると尖ってキツイ目です。
また、目がくぼんでしまうのもサインの一つで、この場合は怖がっています。
後述の体色やしっぽと合わせて、極端に怯えていることが明らかな場合はより慎重にハンドリングをします。
例外は脱水症状などの体調不良で、目がくぼんで虚になる場合です。
胴体の形
胴体の形は、普通は断面がやや縦向きに扁平しています。
しかし、胴体は常に同じ形ではなく変化は表情の一つです。
- 極端に縦に薄くなる
- 丸くやや横丸になる
それぞれの表情は意味が違います。
共通しているのは、カメレオンの緊張状態を表していると言うことです。
極端に縦に薄くなる
体が極端に縦に薄くなるのは、
- 威嚇しているとき
- 何かから隠れるとき
の2パターンがあります。
どちらの場合もカメレオンが緊張状態にある証拠です。
威嚇している時は体を大きく見せるために、できるだけ縦向きに広げた結果、前後から見るととても平べったくなります。
この場合は同時に口元の表情も変化しているはずです。
もう一つが木の枝などに捕まっているとき、できるだけ体を薄くして天敵から隠れる場合です。
同時に敵から見えないように枝の裏側に移動します。
丸くやや横丸になる
胴体が丸く横長になっているのはリラックスしている証です。
カメレオンは気が抜けると体が横向きに伸びてしまいます。
威嚇の必要もなく敵がいない時に、くつろぐとこの表情が現れます。
例外は体調がとても悪く、体に力が入らない場合です。
しっぽ
しっぽはカメレオンの表情をもっとも多く読み取れる部分です。
ポイントは、
- どれくらい巻いているか
- 根元の角度
の二つです。
どれくらい巻いているか
カメレオンのしっぽの巻量は、警戒心に比例します。
警戒モードが最高になるとしっぽを完全に巻き取ってしまい、警戒心が解けていくとしっぽは伸びていきます。
例外は、寒い時と睡眠中です
寒い時と睡眠中は体温を逃さないようにしっぽとしっかりと巻きますが、これはカメレオンの警戒心とは関係がありません。
根元の角度
カメレオンの尻しっぽの根元の角度は、その子のテンションを表します。
楽しくテンションが高い時は上を向き、低い時は下向きに下がってしまいます。
基本的には上を向いていると楽しく、下を向いていると沈んでいることが多いです。
体色
体色も気分の上下を表す大きな表情の一つです。
カメレオンの種により体色の変化具合や傾向がやや異なりますが、目安は以下の通りです。
興奮し感情が昂ると体色が明るくなり、濃い模様が減っていきます。
逆にケンカに負けたり病院で治療された時など、ご機嫌ナナメな場合は体色が暗く沈み、濃い模様が増えていきます。
例外は周りの温度や明るさによる変化、体調不良の際に体色が沈んでしまうなどです。
動き
カメレオンの行動も表情の一つです。
分かりやすいカメレオンの特徴的な行動には
- 歩き方
- 物の後ろに隠れる
- 首を振る
といったものがあります。
歩き方
まず、カメレオンには独特な歩き方があります。
前後に揺れながら進む不思議な歩き方で、わが家では“カメレオンウォーク”と呼んでいます。
これは葉っぱに擬態していると言われていて、怯えていたり警戒心が出ている時の歩き方です。
物の後ろに隠れる
カメレオンはよく物の後ろに隠れたがります。
これも基本的に天敵や怖い相手から隠れるための行動です。
カメレオンが独特なのは、目があってからでも諦めずに木の枝の裏に隠れたりすることです。
カメレオン的には「まだ見つかっていない!!」と言うつもりで一生懸命に隠れます。
木の枝の裏側に隠れている時は不必要な刺激を与えないようにしましょう。
首を振る
カメレオンが首を振るのはとてもレアな状況です。
首を振るのは主にオスで、
- 求愛行動
- カメレオン同士のあいさつ
の2つのパターンがあります。
カメレオンがあなたに首を振った場合、とても信頼していて友情のあいさつをしてきたと言うことです。
この場合はカメレオンととても良好な関係性が築けている証拠ということになります。
カメレオンの表情の例
ここまでカメレオンの表情の読み方を解説しました。
実際のカメレオンでは各部分の表情が同時に他の部分の表情と組み合わさって気持ちを表現します。
わが家のカメレオンの写真を参考に、カメレオンの表情の例を見てみましょう。
威嚇中のカメレオン
まずはハンドリングなど直接カメレオンとコミュニケーションするにあたって、ぜひ覚えておきたい威嚇の表情です。
めーちゃんの“ガチギレ”
こちらはお手本のような“ガチギレ”を見せるめーちゃんです。
体を大きく広げ、自信満々の表情に大きく開けた口が特徴です。
あーくんそこそこ威嚇
こちらもお手本のような威嚇を見せるあーくん。
“ガチギレ”一歩手前です。(怒ってた理由はお散歩に行きたいのにケージが開いていないから…)
怖がっているカメレオン
次は、威嚇中と同じくらい気をつけないといけない、怖がっている時の表情です。
あまりにも怖がっている様子であれば、慣れるまではハンドリングを最小限に留めます。
けーくんが怯えてたとき
こちらはけーくんがわが家に来てすぐの怯えていた頃の様子です。
目がくぼみ、警戒のためしっぽも巻き取って縮こまっています。
めーちゃん蜘蛛が怖い
これはめーちゃんが唯一怖がった“ハエトリグモ”(体長5mm)がケージの近くに出た時の写真です。
目こそくぼんでいませんが、身体中に真っ黒い模様が浮かんできています。
その他
最後にその他の表情も見てみましょう。
かーくん楽しい
こちらは全身から楽しいことが滲み出ているかーくんのお散歩中です。
胴体は適度に丸みを帯び、しっぽは完全に伸びて上を向き、体色は鮮やかで表情も明るいです。
一見怒っているかーくん
こちらのかーくんは一見とても威嚇しているように見えます。
しかしこの場合は、威嚇のポーズをとっているけど怖がっている、という表情です。
よく見ると、目がくぼんでしまっているのがお分かりいただけると思います。
一部の大きな表情にとらわれず、体全体を見てカメレオンの気持ちを読み取ることが大切です。
カメレオンの適切なハンドリング
カメレオンの嫌がること、表情の読み方、実際の表情の例を確認してきました。
ここからはカメレオンにストレスを与えないハンドリングについて解説します。
ハンドリングとは、カメレオンを手にのせるなど、直接的なコミュニケーションを取ることです。
カメレオンをお迎えしたらできるだけ早い段階でハンドリングを試してみます。
カメレオンのハンドリングには賛否がありますが、わが家では健康チェックのため必須のコミュニケーションだと考えています。
ここまでに紹介した、“カメレオンが嫌がること”を避け“カメレオンの表情の読み方”を取り入れた、カメレオンにストレスをかけないハンドリングの方法を知っておきましょう。
では、カメレオンのハンドリングについて順に見てみましょう。
カメレオンを手にのせる手順
鉄則は先に述べたカメレオンの嫌がることをしない、ということです。
あなたがカメレオンを掴むのではなく、カメレオンがあなたの指や手を掴むように意識するとうまくいきやすいです。
また、ハンドリングの最中に口を開けるほど全力の威嚇モードになった場合は、タイミングを改めるか後述のカメレオンを刺激しない方法を試しましょう。
喉を膨らませる程度の威嚇であれば、様子を見ながら手順を進めても大丈夫です。
まずは、カメレオンのご機嫌を伺いつつ近づきます。
必ず一度はカメレオンと目を合わせるように意識しましょう。
カメレオンがあなたに気付かないまま距離を詰めると、驚かせてしまうからです。
手の届く範囲まで距離を詰めたときに怖がっている様子があれば、ハンドリングの時間を最小限に留めるよう配慮します。
カメレオンの嫌がることを思い出して、嫌われないように気をつけます。
具体的には手を近づけるときに
- 下から
- ゆっくり
- カメレオンに見えるように
の3点を守ります。
しっぽを触られたカメレオンが前に進んで逃げてしまわないよう、先に片手を両腕の前後に差し込みます。
この時点で威嚇が強まったり逃げられたりしなければ、ほとんどハンドリングに成功したといって良いでしょう。
そのまま、もう一方の手でカメレオンのしっぽを枝から外します。
優しくつつくと、反射的に枝を離すことが多いです。
そうでない場合はしっぽの先端から徐々に外していきます。
次に両手を枝から外します。
両手もしっぽと同じように優しくつつくか、枝からはがすように外します。
外した両手は、あなたの指を枝に見立てて捕まらせてあげてください。
手足が何かを握って安定していると、カメレオンは安心できます。
この時、両手に気を取られてしっぽが再度枝に巻き付かないよう気をつけます。
最後に残った両足を枝から外します。
両足も両手の時と同じく、あなたの指を枝に見立てて優しく握らせるイメージです。
この時、無理に枝から引き剥がすと足首の脱臼に繋がるので注意しましょう。
いきなり体を持ち上げるのではなく、両手両足としっぽの全てが枝から離れたことを確認してから動かします。
この過程が1番難しく、両足に気を取られている間にカメレオンの両手が枝に降りてしまったり、しっぽが枝に巻き付いてしまったりします。
慣れるまでは外す、掴むのイタチごっこが発生しますが、焦らず・根気強く・優しくを心がけましょう。
カメレオンとの信頼関係ができたり、扱いに慣れてくればここまで気を使わなくてもある程度はカメレオンが許容してくれます。
ただし、お迎え直後は信頼関係を築くための大事な時期なので、可能な限りこの手順を守ることをお勧めします。
カメレオンを刺激しない方法
多くのカメレオンは上記の方法で“嫌がることをしない”を徹底すれば、ハンドリングできます。
しかし、お迎え直後で警戒している個体や、中にはどうやっても人を怖がる個体がいます。
- 口を開けての全力の威嚇
- 噛みつこうとする
- 暴れて枝から飛ぼうとする
などの動きが見られる場合は、カメレオンを刺激しない方法を試します。
この方法は厳密にはハンドリングと呼べないかもしれませんが、気難しい個体と距離を縮めるのに有効な方法です。
具体的には、直接カメレオンを手にのせるのではなく、手に持った木の枝に乗ってもらう方法です。
この方法で手に持った木の枝にカメレオンを乗せれば、健康状態のチェックや、ケージの清掃などのため別の場所に移動してもらうこともできます。
カメレオンを手持ちの枝にのせる手順
この方法に必要なものがあります。
それが、カメレオンの頭胴長の2倍以上の長さの木の枝です。
できればカメレオンの腕と同じか、1.5倍程度の太さのものを用意しましょう。
まずは、カメレオンが嫌がらないように、
- 下から
- ゆっくり
- カメレオンに見えるように
を意識しながらカメレオンの進行方向に枝を差し出します。
次に、カメレオンの後ろ側からもう一方の手を近づけます。
人を嫌がるので、あなたの手から逃げるように、進行方向に差し出された枝に乗ってくるはずです。
その場から動かないようなら、優しくしっぽに触るなどすれば前に進みだします。
カメレオンがあなたの手に持った枝にのり始めたら、全身が手持ちの枝の上に乗るようにアシストします。
足やしっぽがもとの枝の上に乗っていたら、優しくつついて手に持った枝に移動するよう促すなどの方法です。
全身が手に持った枝にきちんとのったことを確認したら、ゆっくりと枝を動かします。
こちらの方法で触れ合ううち、カメレオンはあなたが近くにいても「何もしてこない!!」と気づきます。
段々とカメレオンが威嚇しなくなってきたら、直接のハンドリングを試してみましょう。
ハンドリングの注意点
以上がカメレオンにストレスが少ないハンドリングの手順です。
そのほかにも、カメレオンのハンドリング気をつけなければならないことがあります。
それは、
- 威嚇や怯えが激しいときは短時間に留める
- 嫌がると噛むことがある
- 爪がけっこう痛い
- ハンドリング後は手を洗う
の4点です。
これらも事前に知っておいた方が良いでしょう。
威嚇や怯えが激しいときは短時間に留める
- 気が強い個体→嫌がって威嚇が激しい時
- 気の弱い個体→怯えが激しい時
上記の場合はハンドリングは必要最小限の短時間に留めます。
カメレオンの気持ちを無視し、不用意なストレスを与えると体調を崩す原因にもなるからです。
ハンドリングはカメレオンの様子を見て、あくまでもカメレオンの気持ちを最優先にしつつ行いましょう。
きちんとカメレオンの気持ちを大切にして、ゆっくりとハンドリングに慣らしていくことが大切です。
嫌がると噛むことがある
カメレオンが人を攻撃することは稀です。
しかし、命の危険を感じたり、恐怖心が極限まで高まると人を噛むことがあります。
カメレオンに噛まれてしまった場合は、あなたのハンドリングに問題があると考えましょう。
ハンドリングの途中にカメレオンが嫌がることをしていないか、怒っているのに無理にハンドリングをしようとしていないかなど、ハンドリングの手順について見直します。
カメレオンの噛む力は強いですが、あまり歯が発達していません。
大型種が全力で噛み付かない限り、皮膚が抉られるような流血沙汰にはなりませんが、かなり痛いです。
万が一カメレオンに噛まれてしまった場合は傷口をよく洗うなどの処置をしておきます。
また、一度噛み付くとなかなか離してくれないこともあります。
噛みつかれて離してくれない時でも、基本的にはカメレオンを傷つけないため、納得してくれるまで待ちましょう。
爪がけっこう痛い
カメレオンの手足にはしっかりとした爪が生えています。
ハンドリングする際はこの爪が皮膚に食い込んでかなり痛いです。
特に、カメレオンとの信頼関係が築けていないお迎え直後は、カメレオンも緊張しているので全力で握り込んでくることがあります。
驚いて振り払ったりしてしまわないよう、覚悟を決めておきましょう。
カメレオンの体格や力の強さにもよりますが、場合によっては猫につけられるような引っ掻き傷をつけられてしまうこともあります。
皮膚の弱い方は、ハンドリング時に薄手の防刃手袋や革手袋を着用するなどの対策をした方が良いでしょう。
ハンドリング後は手を洗う
カメレオンの手足には少なからず雑菌が付着しています。
前述の鋭い爪と相まって、ハンドリングでカメレオンが歩いた私たちの手には小さな傷ができ、そこに雑菌が塗り込まれてしまいます。
また、カメレオンが常在菌として人に感染する細菌などを保菌していることもあります。
カメレオンから人に感染する菌やウイルス、寄生虫などは多くが手洗いで防ぐことができますので、ハンドリングの後には必ず手を洗うことを習慣化しましょう。
カメレオンのハンドリング&仲良くなる方法まとめ
今回はカメレオンに負担をかけない適切なハンドリングと、表情を読んで仲良くなる方法を解説しました。
わが家では今までに4頭のパンサーカメレオンと暮らし、その全員とほぼ毎日のハンドリングをしています。
しかし、カメレオンたちに噛みつかれたことは数回しかありません。
そして噛みつかれた原因はやはり、“カメレオンの嫌がること”をしたからです。
具体的にどのようなシチュエーションで噛みつかれたかというと、
- 落ちそうになってとっさに後ろから手を出した
- 炎症のおこっている部分の手当てをした
- 脱皮で不機嫌なのにハンドリングしようとした
といったケースです。
逆に言えば、そういった嫌がることをせず、“カメレオンの気持ち”を大事にしてハンドリングをすれば大きなストレスをかけることなく触れ合うことができます。
“カメレオンの気持ち”を考えながらゆっくりとハンドリングに慣らしていけば、多くの場合は徐々に仲良くなれるはずです。
しっかりとカメレオンの様子を観察しながら接してあげてほしいと思います。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。