カメレオンって飼えるの?カメレオンのペットとしての性質【解説】
この記事では、カメレオンと一緒に暮らしている私たちが実際に感じた、大変さや気をつけるべき点を解説します。
カメレオンを飼っていると他の方に話すと、多くの場合「カメレオンって飼えるの!?」「どんな感じなの?」と聞かれます。
- カメレオンと暮らすと大変なことは?
- 私たちの生活に影響はある?
- お世話の内容は?
まだまだ一般的でないカメレオンとの生活は想像がつかないと言う方が多いと思います。
カメレオンと生活すると私たち人間の生活にどのような影響があるのか、何に気を付ける必要があるのかを見ていきましょう。
YouTube版もあります!!
また、カメレオンについて「ペットとしてなつくの?」という疑問もあると思います。
こちらはまだ意見の割れている疑問です。
カメレオンがなつくのかの記事でわが家の見解をまとめましたのでこちらもチェックしてみてください。
カメレオンの生活環境と私たち
まずは、カメレオンの生活環境についてです。
犬や猫は人の生活環境に加えて、食器や給水器、必要であればケージを用意する程度で一緒に生活を始められます。
しかし、カメレオンの場合はしっかりとカメレオンと生活するのに適した環境を用意しなければ、一緒に暮らすことができません。
これが、カメレオンとの生活で最も大変なことの一つだと思います。
カメレオンの生活環境とはどの様なものなのか、それは私たちの暮らしにどんな影響があるのか。
カメレオンと犬や猫を比較しながら見ていきます。
具体的にどのような飼育環境を用意するのかはレイアウトの解説記事と温湿度管理の記事で説明しています。
どんな感じかイメージしづらい方は下記の記事をチェックしてみてください。
生活スペース
はじめに、カメレオンに必要な生活スペースについてです。
犬や猫と違いカメレオンは樹上棲なので床で過ごさせるというわけにはいきません。
カメレオンの種によって必要なスペースは異なりますが、専用の飼育ケージと飼育者の方針によっては、お散歩用のコースを準備することになります。
私たちが用意したスペースで生活するので、家全体を行き来する犬や猫と異なり、カメレオンの生活スペースは人がコントロールできます。
小型犬がほぼ室内のみで生活でき、大型犬は毎日たくさんの散歩がいるのと同じで、必要なケーズのサイズは種によって異なります。
カメレオンをケージから出さない場合、
- 大型種
- 市販の大型ケージ(高さ1m以上)
- DIYで自作する
- 中型種
- 市販の中型〜大型ケージ
- 小型種
- 45cm角のケージで完結
と言うように種ごとに適切なサイズのケージを置く場所が必要です。
カメレオンを人の部屋で散歩させることについては賛否あり、人によってはケージから出さないと言う方もいます。
わが家ではカメレオンにはお散歩が必須だと考えていて、ケージのほかに屋内でのお散歩、部屋んぽ用のコースを用意しています。
部屋んぽのスペースを多く取るようにすることで、ケージ本体は最小限のスペースのみで済ませることが可能です。
一例として、わが家で使っている中型種パンサーカメレオン用のケージのサイズと部屋んぽのスペースは
- 男の子用
- 幅60cm高さ60cm奥行き45cm
- 女の子用
- 幅60cm高さ45cm奥行き45cm
- 各カメレオン
- 部屋んぽ用に数畳ずつ
これくらの大きさと広さです。
大型犬が毎日の散歩を必要としているように、カメレオンは部屋んぽの楽しさを覚えると、毎日必ず催促をするほど運動好きなので、わが家ではカメレオンには部屋んぽが必須であると考えています。
それでも、家の中全体を行き来する犬や猫と比べるとカメレオンは省スペースかもしれません。
生活音について
カメレオンの生活音についてですが、基本的に犬や猫より遥かに静かです。
ある程度躾でコントロールできる様ですが、犬はかなり大きな声で吠えます。
猫も甘えたりごはんの催促などで鳴きます。
逆に、カメレオンはそもそも発声器官がないので全く鳴きません。
足音についても、犬や猫が歩くと爪の擦れる音がしたり飛び跳ねた際の音がしたりしますが、動きがゆっくりで床を歩かないカメレオンはほぼ無音です。
気づかないうちに目の前にいて、人の方が驚くことがあるほどです。
ただし、部屋んぽの催促でケージを爪で引っ掻くことがあるのでその時は少しだけ音がします。
通常の生活では隣の部屋に音が漏れるようなことはまずないでしょう。
匂いについて
ペットといえば独特の体臭が気になる方が多いと思いますが、カメレオンにその心配はありません。
犬や猫をはじめとした哺乳類やインコやフクロウなどの鳥類は、それぞれ独特の体臭があります。
これは主に毛穴から出る皮脂などの分泌物が原因です。
いわゆる獣臭と言われる匂いで、苦手に感じる人もいるかと思います。
それに比べ、カメレオンの体臭はほぼゼロです。
犬や猫などと違って、そもそも毛穴がないので皮脂がなく、匂いが発生しません。
強いて言うなら、口を開けた時に少し香ばしい香りがするくらいです。
もちろん排泄物は匂いますが、それはどの生き物も同じです。
室温と湿度の管理
カメレオンの生活環境を整える上で、最も大変なのがこの温度湿度の管理です。
犬や猫は、人間が快適に暮らせる範囲の温度湿度ならば体調を崩さず生活できますが、カメレオンは違います。
別の記事でも述べた通り、カメレオンの生息地は主に赤道付近の熱帯地域です。
そのため、カメレオンが快適に暮らせる温度湿度は日本の気候とはかけ離れたものとなります。
適切な温度・湿度はそれぞれの種により微妙に異なりますが、パンサーカメレオンの場合おおむね次の表の通りです。
温湿度 | 最低 | 最高 |
---|---|---|
昼温度(℃) | 27 | 32 |
夜温度(℃) | 25 | 28 |
湿度(%) | 50 | 60 |
人が過ごすにはかなり蒸し暑く、なかなか快適とは言いづらいですが、カメレオンの健康は温度や湿度の影響を強く受けるので室温と湿度の管理はとても重要です。
日本に住んでいてこの温度湿度の範囲に収めようとすると、エアコンや加湿器・除湿器が必須であることがわかると思います。
日本のどこに住んでいるかで変わりますが、マダガスカルと比べると、冬は寒すぎ、夏は暑すぎです。
また、温度調節のために冷暖房を使用すると必然的に湿度も上下するので、加湿器や除湿器も必要になります。
わが家では、1年のうちでエアコンも加湿器も除湿器も使わないと言う日は、数えるほどしかありません。
本当にカメレオンと一緒に生活することを検討している場合、ケージの設置を予定している部屋に温湿度計を置いてみて、どの様な設備が必要であるかを事前に確認する必要があります。
慣れるまでは、1時間に1度くらいのペースで温度や湿度の確認が必要になると思います。
これらは、ログが取れるタイプの温湿度計を利用したり、スマートホーム化することである程度省力化できますが、カメレオンと生活する上で最も気を遣うことの一つです。
活き餌について
ここまで、カメレオンの生活環境についてに注目してきました。
一見、生活スペースも犬や猫ほどは広くはなく、音も匂いもなく、大変なのは温度と湿度の管理くらいですが、忘れてはならないのが活き餌の存在です。
カメレオンには活き餌が必要
カメレオンと生活する上で切っても切れないのが、活き餌です。
現在は、カメレオン飼育者のほぼ100%が活き餌を使用してカメレオンを育てています。
しかし、どうして活き餌でないといけないのでしょうか?
カメレオンは、外界からの情報のほとんどを視覚から得て行動しています。
動いているものに強く反応し、逆に動いていないものには興味を示しません。
飲み水すら、お皿にためるだけでは飲んでくれなかったりします。
飼い主とカメレオン双方が努力すれば、トカゲ用の人工飼料に餌付くこともあるようですが、基本的には生き餌が必須だと考える必要があります。
ゴキブリ・コオロギ・ワームが一般的
現在カメレオンのごはんとして一般的になっているのが、コオロギ、ゴキブリ、ミルワームなどです。
この時点で虫が苦手な方は、カメレオンと暮らすのは無理…と思われるかもしれません。
わが家でも初めてのカメレオン、かーくんと暮らし始めるにあたって、活き餌の問題は大きな議題になりました。
しかし、カメレオンがごはんを食べる姿を見て、嫌悪感がなければそのうち慣れてきます。
カメレオンが美味しそうにごはんを食べているのを見ると嬉しくなりますし、活き餌が虫としてではなくカメレオンのごはんとして見えてきます。
虫が苦手だけどカメレオンと暮らしてみたいと言う方は、実際にカメレオンと会ってみたり、カメレオンの食事動画を見たりしてみるといいかもしれません。
色々な活き餌がありますが、カメレオンに適した活き餌は小さな昆虫が主になります。
虫が苦手な人にはハードルが高いかも知れませんが、避けては通れません。
わが家では、コオロギのみでカメレオンたちを育てています。
また、コオロギの他にも様々な活き餌があります。
活き餌の虫について詳しく知りたい方は活き餌の選び方の記事を見てみてください。
※活き餌の虫の画像が大量に含まれますので注意!
活き餌を飼うと言うこと
また、活き餌を家でストックすることによる、人の生活への影響も無視できません。
現在カメレオンのごはんとして最も人気なのは、ヨーロッパイエコオロギ(通称イエコ)とフタホシコオロギ(通称クロコ)です。
活き餌にはお世話も必要なので、どのようなお世話をしているか気になる方はコオロギの飼い方の記事を記事を見てみてください。
※この記事はモザイクなしなので、虫が苦手な場合はご注意を…。
活き餌はうるさい
これらのコオロギのオスは、ご存知の通り成虫になると鳴きます。
それも、日本の在来種の様な上品な鳴き声でなく、かなりうるさいです。
しかも、ネット通販でコオロギを購入すると、多くの場合100匹単位の販売です。
家の中は1年中、コオロギの大合唱がコダマしています。
活き餌は臭い
そしてコオロギは匂いも出ます。
主に、コオロギの排泄物に含まれるアンモニアなどが匂いの発生源です。
カメレオン自身は音も匂いもなく抜け毛などもありませんが、生き餌はうるさかったり匂いがあったりすします。
カメレオンを飼う際に同居人がいる場合は、カメレオンと一緒に生き餌を飼うということをよく相談する必要があると思います。
カメレオンの生活サイクル
人にとって直接的な影響はありませんが、カメレオンの生活サイクルについてもご説明します。
カメレオンのペットとしての特徴の1つとして、犬や猫よりも活動時間がかなり短いことが挙げられます。
カメレオンは早寝早起き
カメレオンは昼行性で、とても早寝早起きです。
具体的には朝太陽が登る6時くらいには起き始め、夕方6時くらいには寝始めます。
つまりカメレオンの活動時間帯は、人が仕事で出かける時間帯と大きく被ります。
例えば、朝7時に家を出て夕方6時に帰宅する、といった生活をしていると、カメレオンと触れ合えるのはわずか1時間程度です。
生活サイクルが合わない場合は?
一人暮らしでカメレオンのお世話をしないといけなかったり、もっとカメレオンと過ごす時間を長くとりたいといった場合もあると思います。
そういった時は、カメレオンの生活サイクルを照明の点灯時間を変えるなどの方法で、人の生活サイクルに合わせてずらすことが可能です。
カメレオンは周りの明るさで時間を判断しているので、暗くなると寝て明るくなると目を覚まします。
日光の入らない部屋にケージを置き、照明をつける時間を夕方4時~朝方4時に設定しておく、といった方法が生活サイクルの調整に有効です。
犬や猫よりも活動時間が短いカメレオンでも、生活サイクルのすれ違いでなかなか触れ合えない…ということも避けることができます。
カメレオンと人間の旅行
これはカメレオンに限った話でなく、どんなペットであっても気にしなければならないのですが、旅行などで家を空けることが多い場合は一緒に暮らしていくのは難しいかもしれないです。
通常、旅行などで長期間自宅を空ける場合、犬や猫がいる際の選択肢は、
- 一緒に連れていく
- 知人や親戚に預ける
- 家を空けない
といったものが考えられます。
カメレオンは連れて行けない
まず、一緒に連れて行くと言うのはカメレオンの場合難しいです。
前述の通り、カメレオンは生活環境づくりが何より大切で、いきなり家の外に連れ出して何日も過ごすといったことはできません。
他人に預けるのも難しい
犬や猫なら理解のある知人や、親戚に預けることができる場合もあります。
しかし、いきなりカメレオンの面倒を見てほしいと言われて快く引き受けてくれる方はそういないでしょう。
いたとしても、カメレオンは臆病な性格で環境の変化に敏感なため、出来るだけ避けたいところです。
家を空けないのが安心
わが家では3つ目の、そもそも家を空けない方針にしています。
具体的には、家族全員が家を空けるのは日帰り程度の長さまで、かつ、ネットワークカメラ越しに様子を見つつ、温度湿度をスマートリモコンでコントロールしています。
遠方の法事などで一旦出かけるとどうしても丸一日以上家に帰れない場合、家族の誰か一人がカメレオンのために家に残るルールです。
旅行だけでなく、一人暮らしだけれど出張が多い場合なども、カメレオンと暮らしていくのに支障が出る可能性が高いと思います。
実際には、カメレオンは数日飲まず食わずでも命に別状はありません。
自然界ではそのようなことは頻繁に起こり得るからです。
しかし、カメレオンは意外なほど賢く、周りの環境の変化をとても敏感に感じとる子もいます。
なかなか大変ですが、大切なカメレオンに出来るだけストレスがかからないよう気を付けて生活するほうが良いと思います。
カメレオンの病院について
カメレオンも人や犬や猫と同じように、病気になったり怪我をします。
当然ながら病院での処置が必要な場合があります。
しかし、カメレオンを診てくれる病院はかなり少なく、事前に自宅の近くにカメレオン対応の病院を探しておくことが必要です。
臨床獣医師の分類
- 産業動物獣医師
- 家畜や家禽を診る
- 獣医は家畜や家禽のために生まれた
- 小動物獣医師
- 一般の動物病院とエキゾチックアニマル対応病院がある
線引きは曖昧で一般の動物病院でもインコやカメを診る場合がある - エキゾチックアニマル=犬と猫以外の小動物の意味で幅が広い
エキゾチックアニマル対応でも何を診るかは病院ごとに異なる - カメレオンを診てくれる病院はとても少ない
- 一般の動物病院とエキゾチックアニマル対応病院がある
多くの動物病院は犬や猫の診療がメインで、それ以外のペットは「エキゾチックアニマル」と呼ばれます。
犬や猫以外を診察する病院の看板やサイトには「エキゾチックアニマル対応」といった表記があります。まずは、動物病院の検索ができるHPなどで自宅の近くのエキゾチックアニマル対応病院を探してみましょう。
しかしエキゾチックアニマル対応だからカメレオンも診てもらえるかというと、一概にそうとも言えません。
めぼしい病院が見つかったら、その病院に直接カメレオンの診察が可能か確認しておくことが大切です。
場合によっては、自宅に一番近いカメレオンを診てもらえる病院が、車で片道3時間の距離ということもあり得ます。
それでもカメレオンと一緒に暮らしていくことができるのか、よく考えてみなければなりません。
具体的にどれくらい病院を見つけるのが難しいのかは、爬虫類対応の動物病院の数を調査した記事があるので、ぜひご一読ください。
日々カメレオンに費やす時間
カメレオンと暮らすと、どのようなお世話が必要になるのでしょうか?
あまり具体的なお話を聞いたことがないかも知れません。
カメレオンと楽しく過ごすために必要なお世話と、それに掛かる時間についてご説明します。
また、1日の中でいつどのようなタイミングでお世話をするのかは、1日のスケジュールをまとめた記事がありますのでこちらを参考にしてみてください。
日常的なお世話は1日1時間くらい
日常的なお世話の内容
- 食事の用意
- 排泄物の処理
- ケージの清掃
- 日光浴
- 体重測定
- 活き餌のお世話
合計で1頭あたり1日1時間くらい
わが家の場合、カメレオンのみにかかりきりになる時間は、1頭あたり1日に1時間程度です。
主な内容は食事の用意、排泄物の処理とケージの清掃、日光浴、体調管理のための体重測定、そして活き餌のお世話です。
また、部屋んぽ中は必ずカメレオンの側についているか、ネットワークカメラなどで様子を見ながら過ごす必要があります。
どれだけカメレオンに部屋んぽの時間を作ってあげるかは飼い主次第です。
その他に必要なお世話もある
その他必要なお世話の内容
- 枝やロープの交換
- 観葉植物のお世話
- 病院への通院
- 自宅での治療
それぞれ必要な時に必要なだけ
その他に、ケージの中や部屋んぽコースに使う木の枝やロープの交換などのメンテナンス、ケージの中に観葉植物を入れる場合はその水やりや植え替え、カメレオンが体調を崩した際の通院や自宅での治療などの時間が必要に応じて発生します。
特に、病院への通院は前述の通り、カメレオンを診てくれる病院の場所によってはかなりの時間が必要です。
年齢を重ねると体調を崩しやすくなっていきますし、何かの病気が長期化した場合は定期的な通院が必要な場合もあります。
カメレオンは手間がかかる?
これらの時間を多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれだと思いますが、犬や猫と比べると同じか、 長距離の散歩がいる大型犬と比べると少し少ないでしょうか?
しかし、爬虫類としては必要な時間が多いかもしれません。
ペットとして人気が高まる爬虫類
昨今のペットブームで、爬虫類は手間がかからず省スペースで一人暮らしでも飼いやすい、といった宣伝をよく見ます。
同じ爬虫類でも、ヘビは数日に1回の給餌とケージの掃除が必要な程度で、手間のかからないペットの代表の様に語られることもあるようです。
それと比較すると、カメレオンは毎日何かしらのお世話が必要であり、簡単に飼育できるつもりでいると後悔するかもしれません。
もちろん、どの生き物もその命を家族として大切に扱わないといけないことに変わりはないです。
例えお世話の頻度が高くない生き物でもそうでないカメレオンでも手を抜くのではなく、ベストを尽くす必要があります。
特に、カメレオンを含む爬虫類は自分から人に寄ってきて何かを主張するようなコミュニケーションが少ないです。
そのため、体調の変化に常に目を配らなければ、気づいた時には手遅れな状態であるということも少なくありません。
是非とも大切なカメレオンと少しでも長く生活するため、手間を惜しまず可能な限り一緒に過ごしてあげてほしいと思います。
補足:他のペットとの同居
すでに他のペットと同居しているけど、カメレオンとも暮らしたいという人向けの補足です。
結論から言うと、カメレオンと他のペットの同居は可能ですが、必ず生活スペースを分けるなどしっかりとした安全対策が必要です。
どのような対策が必要で、それがなぜなのかを解説します。
- カメレオンは獲物、犬猫は天敵
- カメレオンが他の生き物を食べることも
- 共通感染症の危険
カメレオンは獲物、犬猫は天敵
まず犬や猫との同居については“カメレオンは獲物、犬猫は天敵”という関係であることを忘れてはいけません。
犬や猫にとっては、カメレオンなどの手頃なサイズの爬虫類は狩猟本能を刺激する対象です。
実際に本気で食べようとすることは少ないと思います。
しかし、オモチャにじゃれるような感覚で扱われるだけでも、カメレオンの命に関わります。
基本的には部屋単位で生活スペースを分けて、直接触れ合うことがないようにする必要があります。
カギのかかっていない扉では、犬や猫に開けられてしまうことがあるため不十分です。
ペットゲートを併用するなど、何があってもカメレオンがいる部屋に入ることができないよう対策をしましょう。
同時にカメレオンの脱走にも十分に注意します。
ケージの扉の閉め忘れや、体格に合わない鳥かご型ケージの使用は脱走につながります。
日光浴の際も慎重に場所や方法を選んで行いましょう。
カメレオンが他の生き物を食べることも
犬や猫との同居以外に、他の爬虫類や両生類との同居にも注意が必要です。
大型のヘビやモニター類を飼育している方であれば、大型生体はすでに脱走防止策を厳重に講じられているかと思います。
しかし、レオパや小型のカエルなどとの同居を考えている場合は、カメレオンが加害者になる可能性も忘れてはなりません。
カメレオンは動いて口に入るものであれば、餌と考えて食べようとします。
レオパの幼体や、小型のカエルは美味しそうなご馳走でしかありません。
人の目線では、異種のペットが仲良く過ごす姿は微笑ましく思えますが、当人同士には「食うか食われるか」の状態です。
野生下でも稀であるものの、主食の虫以外に小型の爬虫類や両生類の捕食が確認されています。
もし他の爬虫類や小型のカエルなどとの同居を考えている場合は、他の生体と触れ合うことがないよう、
- ケージの扉は確実に閉める
- 部屋んぽのタイミングは分ける
- むやみにお互いを近づけない
といったことを徹底するように注意します。
共通感染症の危険
被食捕食の関係だけが、カメレオンと他のペットの同居の危険ではありません。
もう一つの重要な問題が、共通感染症の危険です。
爬虫類同士はもちろん、爬虫類と哺乳類でも共通の感染症があります。
どちらかが感染症にかかっていた場合、不用意な触れ合いはもう一方に伝播する原因です。
一例として、異種の生体間での共通感染症を挙げてみます。
- サルモネラ菌
- 多くの爬虫類が保菌している
- 爬虫類には無症状
- 哺乳類は下痢や熱などの症状
- コクシジウム(寄生虫)
- 爬虫類、哺乳類とも消化器症状がある
- 爬虫類では無症状のこともある
- クリプトスポリジウム(寄生虫)
- 爬虫類、哺乳類とも消化器症状がある
- 爬虫類では無症状のこともある
どれも糞便や直接的な接触で感染が広がる特徴を持っています。
これらの共通感染症を防ぐためにも、生活スペースを分けた上で、生体と触れ合ったあとは都度手を洗うなどの対策が必要です。
カメレオンは飼えるのか:まとめ
今回はカメレオンはペットとして飼えるのか、一緒に過ごすと人の生活にどのような影響があるのかを見てきました。
カメレオンと一緒に暮らすと具体的にどの様な生活になるのか、少しでも伝わりましたでしょうか?
爬虫類であることや、カメレオン独特の生態、ペットとしてはまだ一般的でないことなどから、カメレオンを飼育していくことにはしっかりとした覚悟が必要だと思います。
そういった気持ち的な覚悟はもちろんですが、犬や猫とは違ってカメレオンの生活環境を整えるのには色々な事前準備と飼育用品の継続的な管理も必要です。
初回のケージの設置、止まり木と観葉植物のお手入れに、活き餌のお世話。
それに必要な飼育用品を全て揃えると意外と費用がかかってしまうのも大変なことの一つです。
カメレオンと暮らすのにどんなものが必要でいくらくらいの費用がかかるのか。
最初に知っておきたい必要なものとお金についてまとめた記事もありますので、ぜひ一度目を通してみてください。
大変なこともたくさんありますが、それ以上にカメレオンとの生活は楽しいことでいっぱいです。
わが家では、カメレオンのいない生活は考えられないほど私たちの暮らしの一部になっています。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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