適切な頻度は?大きさは?カメレオンの活き餌の与え方【解説】
この記事では、カメレオンに与える活き餌の頻度(量)と大きさについて解説します。
カメレオンのごはんである、活き餌。
どれくらいの大きさでどれくらいの量をあげるのかは、カメレオンの成長や健康に大きく影響します。
慣れていないとカメレオンにごはんをあげるとき、
- この数でいいのかな?
- ちゃんと足りてるかな?
- 大き過ぎたりしないかな?
と、なにを基準にしたらよいか分わからず不安になると思います。
わが家も適切なごはんの頻度や大きさを知らない頃はとても心配でした。
そこで今回は、カメレオンにあげる活き餌の頻度とサイズについて、その適切な選び方を解説します。
何を基準にカメレオンの活き餌の与え方を決めて良いかわからない、と言う方はぜひ参考にしてみてください。
そもそもどの種類の活き餌にすれば良いか悩んでいる、と言う方には活き餌の種類の選び方を解説した記事があります。
こちらもあわせて読んでみてください。
カメレオンの適切な給餌の頻度
はじめに、カメレオンに与える活き餌を与える頻度や量のコントロールについてです。
カメレオンの食事量はいろいろな場所で解説を見ますが、どれも適切とされる頻度や量がまちまちで何が正解かわからなくなってしまうのではないでしょうか?
わが家が考えるカメレオンの適切な食事量について解説します。
大まかに結論から述べると、
- 頻度や適量を数から決めるのは危険
- ベビーとヤングは欲しがる量
- アダルトは体型と体重を維持できる量
と言うのがわが家の考え方です。
成長時期ごとに適切な頻度や量が違います。
ベビー、ヤング、アダルトの区別については過去の記事を参考にしてください。
専門用語の解説の記事で解説しています。
頻度:〇日で××を△匹…は危険な考え方
カメレオンに与える活き餌の量を解説する際にありがちなのが、
- ヤング
- 毎日クロコのMを5匹
- アダルト
- 1日おきにクロコのLを3匹
というような、具体的な数字を使った表現です。
しかしこれは非常に危険な考え方だと思ってください。
例えば、
- Aさん(男性・30代)
- スポーツ選手
- Bさん(男性・30代)
- サラリーマン
この2人の食事量は同じで良いでしょうか?
あるいは同じ人でも、
- 高校生の頃
- 3キロ離れた学校まで徒歩で通う
- 社会人になってから
- 近くの会社に車で通う
この運動量の差で、同じだけ食べていて健康を保てるでしょうか?
感覚的に前者は“Aさん”のほうが多くエネルギーが必要で、後者は“社会人になってから”は食事量を減らさないと太りそうだとわかるはずです。
カメレオンにも全く同じことが言えます。
同じ種の同じ年齢、同じ性別のカメレオンでも、飼育環境や運動量、成長速度が違えば必要なエネルギーの量は違います。
同じ個体でも、年齢や環境が変われば必要な食事量も変わっていくのです。
画一的に活き餌の量を数字で決めつけるのは、非常に危険な考え方だとわかるはずです。
適切な活き餌の頻度や量は数ではなく、必ずカメレオンの様子と体型や体重を確認しながら決めていきます。
頻度:ベビーの場合
ではベビーのカメレオンの場合から適切な頻度を見てみます。
ざっくり言うと以下のとおりです。
- 活き餌の量は欲しがるだけ
- 食べられない時間を作らない
ベビーのカメレオンには、活き餌の量の制限をしてはいけません。
成長のために大量のエネルギーを必要とするベビーは、起きている間は常に食事を探しています。
1日の中で活き餌がなくなってしまう時間を作らないことが大切です。
朝に活き餌を多めケージに入れて、そのあと最低でも1〜2回、活き餌が切れていないか確認します。
減っている量を目安に、次の補給まで絶対無くならない量を補充しましょう。
ただし、ベビーが寝はじめる夕方にはすべて回収して、睡眠の邪魔にならないようにします。
頻度:ヤングの場合
ヤングの場合も、基本はベビーと同じ考え方です。
- 活き餌の量は欲しがるだけ
- 1日に1度お腹いっぱい与える
基本は欲しがるだけあげましょう。
ただし、ヤングくらいになると四六時中食べ続けるベビーとは異なり、1日に一度お腹いっぱいになるだけあげるのが基本です。
少し多めに与えて、1時間後にあまっていたら回収するくらいにします。
もし食後にケージの床をごはんを探して歩くような素振りがあれば、2食目を与えます。
また、ヤングの時期は適切なごはんのサイズが常に変わっていくので、後述の適切なサイズもよく確認してください。
頻度:アダルトの場合
アダルトの場合はベビー〜ヤングまでと事情が変わってきます。
- 活き餌の量は体型、体重が維持できるだけ
- 食べすぎると健康を損なう
カメレオンのアダルトは、ごはんのあげすぎに注意します。
体型と体重の維持を目標に食事制限をしましょう。
カメレオンは成長期が終わってアダルトになっても食欲旺盛なので、欲しがるだけ与えるとすぐに肥満になります。
カメレオンの体は健康に脂肪を蓄えられる仕組みになっていないので、肥満はとても深刻な問題です。
すぐに内臓脂肪がたまって脂肪肝になったり、痛風になったり、メスの卵詰まりの一因になったりします。
これらは重症化すると命の危険がある重大な病気で、原因は過剰な食事量です。
アダルトの肥満は成長期の栄養不足よりも症状が見えづらく、病気が表面化するときはすでに重症化しています。
アダルトの肥満を防止する唯一の方法は、毎日の体型チェックや体重測定をしながらの食事制限です。
カメレオンが舌を伸ばして食事する姿はとても魅力的で、ついつい多めにごはんをあげたくなる気持ちもわかります。
しかしカメレオンの健康のため心を鬼にして、適切な体型と体重を維持できるような食事制限をしましょう。
具体的には1週間に1〜3日程度、食事をしない日を作るイメージです。
1日の量を減らして毎日与えることもできますが、必ずごはんがもらえる状況だと空腹感を忘れるので、あえて絶食日をつくるのがおすすめです。
カメレオンの体型の見方がわからない、と言う方は健康なカメレオンの見分け方の記事で体型についても解説しています。
こちらを参考にしてみてください。
アダルトの例外的な食事量
ここまで、カメレオンはアダルトになると食事制限が必要だとを解説しました。
しかし、アダルトになっていても例外的に食事制限をしないタイミングがあります。
それが、
- 病気のとき
- メスの産卵前後
の2つです。
病気のとき
アダルトであっても、病気のときは食事制限をしません。
もちもん病気の中でも内臓系の症状では逆に食事量を絞ることもあります。
しかし、カゼなどの多くの病気では食事制限はしないほうがよいでしょう。
病気のときは、普段と同じ量の活き餌では体重を維持できず、どんどん痩せてくることがあります。
病気から回復するためには普段よりもエネルギーが多く必要だったり、消化の効率が下がったりするからです。
そのため体重と体型を指標として、痩せてしまわないように食事量はむしろ増やすことが多いです。
わが家の経験では、食事制限をしていたアダルトが体調を崩したとき、ヤングで1番食事量が多かったころと同じくらい食べてようやく体重が維持できる、というケースもありました。
体調不良の際は、通常よりもさらに体重と体型に目を配り、そのときに必要なだけエネルギーを与えることが大切です。
メスの産卵前後
病気と同じく、メスの産卵前後も食事制限はしません。
多くの生き物にとって、メスの産卵や出産は命がけです。
カメレオンもその例に漏れず、自分が摂取した栄養の多くを卵に注いでしまいます。
卵が体内にあるとわかったら食事は本人が食べたいだけ与え、産卵後しばらくはそのペースを維持します。
カメレオンの適切な活き餌のサイズ
カメレオンのごはんで与える量と並んで私たちの頭を悩ませるのが、そのサイズです。
どれくらいのサイズの活き餌を与えれば良いのでしょうか?
こちらも成長の時期別で見てみます。
サイズ:ベビーの場合
ベビーの場合はアダルトよりかなり小さめのサイズからはじめます。
多くの生き物と同じで、カメレオンのベビーもアダルトより非力です。
体格に対して握力や噛む力も弱いので、大きな獲物だとうまく食べられません。
おすすめの大きさは、ベビーの手足で握り込めるようなサイズです。
パンサーやエボシだとイエコの孵化したて、“ピンヘッド”が良いでしょう。
ピンヘッドは販売店によっては“初令”や“1令”と表現されます。
このサイズのイエコは1〜1.5mm程度で、ゴマ粒よりも小さいです。
少しずつベビーの体が大きくなってきたら、3令、5令と大きくしていきます。
その時の体格にどれくらいのサイズが適切かは、カメレオンが食事している様子をよく観察してみます。
活き餌が口に入ったあと、どれくらい咀嚼しているでしょうか?
数回噛んだだけで飲み込めてしまう場合は、活き餌のサイズが小さい可能性が高いです。
人の感覚で言うと、小さなボーロやラムネを次々に口に入れられるような感覚です。
たくさん食べてもなかなかお腹が膨れません。
もし小さすぎるように見えたら、口に入れた活き餌をしばらく咀嚼するようになるよう、一回り大きめの活き餌に変えてあげましょう。
サイズ:ヤングの場合
ヤングの場合は、ベビーとアダルトのサイズを繋ぐように少しずつ大きなサイズに変えていきます。
この頃には体が大きくなってくるので、ベビーよりは体格に対して大きめの活き餌が食べられるようになります。
あまり小さすぎる活き餌だとなかなかお腹が膨れません。
アダルトに適切なサイズの活き餌を与えると、口に入れた後に活き餌が弱るまで少し咥えたままで待つ“ため”があります。
ヤングもアダルトに近くなるほど、活き餌を口に入れた後に“ため”ができるようなサイズにしていくことを意識しましょう。
サイズ:アダルトの場合
カメレオンのアダルトの場合、極論は口に入るサイズであればかなり大きくても問題ありません。
- 物理的に飲み込めない
- どう見ても体に納めるのは無理
という感じでなければ普通に食べてしまいます。
ただ、大きな獲物はそれだけ抵抗や反撃する力も大きくなります。
飲み込むのに労力が必要だったり、活き餌に反撃されてトラウマになったりする場合もあるようです。
あえて無難なサイズを提案するならば、口先から口角までの長さの8割くらいまでの大きさが良いでしょう。
このくらいの大きさであれば、カメレオンが活き餌を簡単にねじ伏せることができます。
個体ごとの好みや性格も関係しますが、大き過ぎが心配な場合はこの基準で選ぶのがおすすめです。
野生下のカメレオンは意外と小さな虫を食べている
MADACHAME.DE によると、生物学者 Nicolà Lutzmann が 2006 年に発表した野生下のカメレオンの食事内容に関する論文があります。
こちらの研究では、局所的なサンプルではありますが、パンサーカメレオン、ズキンカメレオン、マユダカヒメカメレオンなど、体格や属の違う複数種のカメレオンを対象としています。
54 個の便のサンプルから食べたと思われる虫を推定したところ、全長 3〜11mm 程度の虫が多かったとのことです。
結論として、カメレオンは少数の大きな獲物より、多くの小さな獲物を捕食していると述べられています。
パーソンカメレオンやウスタレカメレオンなど、一部の大型種を除いて、コオロギ類を活き餌としていればサイズが小さすぎることはないでしょう。
【参考】Chameleon food – Madcham.de
適切な量やサイズと“数”の関係
ここまで、適切な活き餌の量とサイズを見てきました。
さらにもう一つ大切な要素があります。
それが活き餌の“数”です。
記事の最初の方で“活き餌の数で適量を決めるのは危険”と述べました。
しかし数にも気をつけないと、いくら食べてもエネルギー不足になる場合があります。
舌を伸ばすのは重労働
同じエネルギー量の活き餌でも“数”が違うと、カメレオンとっては大きな違いがあります。
カメレオンは食事で舌を伸ばすのに莫大なエネルギーを必要とするからです。
例えば、Mサイズのコオロギを3匹とLサイズのコオロギ1匹で同じエネルギーを摂取できるとします。
Mを3匹食べるにはLを1匹食べる時の3倍もエネルギーを消費してしまうのでとても非効率です。
- どれだけたくさん活き餌を与えても成長しない
- お腹いっぱい食べているはずなのに体重が減る
といった場合は、基礎代謝や“舌を伸ばすエネルギー”と“活き餌から得られるエネルギー”の収支が赤字状態なのが原因かもしれません。
適切な活き餌の“数”は?
では、具体的にどれくらいの数の活き餌を与えればよいでしょう?
アダルトでは活き餌の数が10匹を超えない範囲に収まるのが理想です。
カメレオンたちの様子を見ていると、アダルトでは1回の活き餌の数が7〜8匹を超えるとめんどくさそうにしはじめます。
10匹を超えてくると、多くの場合で完食までに休憩が入るようになってきます。
おそらく、この数を超えるくらいからエネルギーの赤字傾向が強くなるのではないでしょうか?
1回の活き餌の量が 15匹、20匹と大量になっているようであれば、活き餌の調整が必要です。
具体的な対策としては、
- 活き餌のサイズを大きくする
- より高エネルギーな活き餌に変える
という方法があります。
前者はいま与えているのがMサイズならばLサイズの活き餌に変える、という感じです。
後者はいま与えているのがイエコならクロコやデュビアに変えてみる、などが考えられます。
活き餌1匹あたりのエネルギーを高めることで、同じ数でもより多くのエネルギーが得られるようになります。
適切な活き餌に変更して、1回あたりに舌を伸ばす回数をコントロールしてあげましょう。
また、ベビーやヤングではアダルトより適切な活き餌の数が多くなります。
体格に対して力が弱い代わりに、体が軽いので多少多く舌を伸ばしても疲れにくいからです。
先述の適切なサイズを心がけると自然と適切な数に収まることが多いでしょう。
活き餌の適切な量とサイズ まとめ
今回は、カメレオンの活き餌の量とサイズ、そして数について適切な与え方を解説しました。
カメレオンの活き餌の適切な量は、そのカメレオンが生活している環境や運動量、種、体格、年齢、性別など様々な要因で変化し続けます。
その個体ごとの体型や体重、食事している時の様子から適切な量になるよう調節してあげることが大切です。
一概に数を決めた活き餌の与え方をしていると、カメレオンの健康を損なってしまいかねません。
今偶然うまくいっていると言う方も、今後病気や年齢を重ねることで適切な食事量は変化し続けるので、カメレオンの様子をしっかりと観察してあげて欲しいと思います。
この記事がカメレオン飼育者の方や、これから飼い始める方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。